読書エッセイ
著者独特の語り口(文体)が、興味深い内容をますます面白くしている。 「くよくよマネジメント」 津村記久子著 清流出版 社会、出来事、世間の人々と著者自身の関係性、そこに発生する様々な状況とそれに対する著者の感想、ときに愚痴や弱音や疑問や正義が…
<HNK「あさイチ」で原田マハさんが紹介!>というラベルが本のスリーブに貼られている。 原田マハはこの本を読み込んで、早稲田大学第二文学部(美術)を受験して合格したということだ。 「美術の物語」 エルンスト・H・ゴンブリッチ 河出書房新社 すごく分…
久しぶりの小説。面白い。 「この世にたやすい仕事はない」 津村記久子著 日本経済新聞出版 新潮文庫 「お仕事小説」という宣伝文句があったので、もうちょっと違った雰囲気の物語を想像していた。 お仕事小説というよりも、ミステリー小説とでも言ったほう…
こういうことって意外とある。 つまり、シンクロニシティ。 映画「君は永遠にそいつらより若い」を観た。WOWOWのプログラムガイドを眺めていて、もしかしてこれ面白いかな、と思って録画しておいたのだった。 そして、その原作小説があることを知った。さら…
「還暦のシンデレラガール」 竹原芳子(どんぐり)著 サンマーク出版 58歳で映画「カメラを止めるな!」に出演。その名前と小柄でスリムな体型に独特のおかっぱ頭が全国に知れ渡った竹原芳子。 2022年5月、カンヌ映画祭の会場にいる竹原の姿を報道で目撃した…
『世界は「使われなかった人生」であふれてる』 沢木耕太郎著/暮しの手帖 私が思うところの「ありえたかもしれない人生」が分かりやすく描かれていた直近(2022年2月現在)の日本のドラマは、「天国と地獄〜サイコな2人〜」ではないだろうか。TBS「日曜劇…
『世界は「使われなかった人生」であふれてる』 沢木耕太郎著/暮しの手帖社 ①では、この書物の冒頭部分を引用しながら、「使われなかった人生」「ありえたかもしれない人生」についてあれこれ考えてみた。 そもそも私は、この本を読んで期待外れ感を否めな…
『世界は「使われなかった人生」であふれてる』 沢木耕太郎著/暮しの手帖社 これは「暮しの手帖」に連載中の映画評論から三十編を選び、前後に映画にまつわるエッセイを配して一冊にしたものである。 (「あとがき」P285) 人生についての考察や、著者の本…
「挑発する少女小説」 斎藤美奈子著 河出新書 家庭小説(少女小説)とはつまり、宗教教育や家政教育を含めて、よき家庭婦人を育てるための良妻賢母の製造装置だったわけです。 (「挑発する少女小説」P4) あ、そうだったんですね。なるほど。 でも私は物語…
久々のバシャール。面白かった。 「BASHAR×Naokiman Show 望む未来へ舵を切れ!」 ナオキマンショー ダリル・アンカ/VOICE 購入して読もうという気は全くなかったのだが、シンクロニシティが起きて思わず知らず買っていた。 読んでますます驚いた。 この本…
②で言及した「竹宮と増山」の増山さん。 「一度きりの大泉の話」 萩尾望都/河出書房新社 増山法恵。竹宮惠子の「変奏曲」シリーズの原作者である。 私が「ヴィレンツ物語」「変奏曲」に感動していた頃には、増山法恵の名前を見たことはなかった。今回のこの…
萩尾が苦しんだ出来事、それは大泉で起きた。 大泉に住んでいた時代のことはほとんど誰にもお話しせず、忘れてというか、封印していました。 しかし今回は、その当時の大泉のことを初めてお話ししようと思います。 と本の帯にある。 「一度きりの大泉の話」 …
私も封印していた(何を封印していたかは③で→)。 「一度きりの大泉の話」萩尾望都/河出書房新社 タイトルを見ただけでは、いったい何について書かれているのか分からない。 この本の発売について全く情報を得ていなかった。もしかしたらどこかで目にしてい…
今私の手元に2冊の「旅エッセイ」本がある。 「ヤマザキマリの世界逍遥録」KADOKAWA 「行った気になる世界遺産」鈴木亮平/ワニブックス 私はヤマザキマリの大ファンだ。 いつからそうなったのか定かでないのだが、彼女の視点と発信が気に入っていて、気づ…
いやなことをいやだと言えない社会は不健全だが、逆にそうできることは珍しいのかもしれない。 日常を散策するⅠ「本の虫ではないのだけれど」 日常を散策するⅡ「不器用な日々」 日常を散策するⅢ「あいまいさを引きうけて」 清水眞砂子/かもがわ出版 学生時…
「成長の大部分はひとりでいる時に起こる」 E・L・カニグズバーグ(児童文学作家/アメリカ) 日常を散策するⅠ「本の虫ではないのだけれど」 日常を散策するⅡ「不器用な日々」 日常を散策するⅢ「あいまいさを引きうけて」 清水眞砂子/かもがわ出版 短大在職…
清水眞砂子のエッセイを読んでいると、20年前のエッセイなのに、まるで今のことかと錯覚する。 日常を散策するⅠ「本の虫ではないのだけれど」 日常を散策するⅡ「不器用な日々」 日常を散策するⅢ「あいまいさを引きうけて」 清水眞砂子/かもがわ出版 そして…
ある日曜日の早朝。5時半ごろ。 たまたまテレビのチャンネルがEテレに合った。「こころの時代〜宗教・人生〜/己の影を抱きしめて」 ひとりの白髪の女性が話していた。とても興味深い内容だった。そのまま最後まで視聴。 その人は清水眞砂子だった。「ゲド戦…
天才の理想像。 本当に宇宙人なのかもしれない。 「デジタルとAIの未来の語る」 オードリー・タン著/プレジデント社 オードリー・タンは、天才プログラマーで、台湾のデジタル担当政務委員。日本では、デジタル大臣という通称とコロナ禍のマスクマップ政策…
社会運動に関する本だが、それだけではない、あらゆる人生、生活の場面に通底することが書いてある。 『みんなの「わがまま」入門』 富永京子著/左右社 富永京子、立命館大学准教授。私が著者の存在を知ったのは、朝の情報番組「モーニングクロス」(東京MX…
ずっと変だな、と感じていたことがある。 それが、これらの本を読んで「あ、これだったのか」と合点がいった。 「人新世の資本論」斎藤幸平著 集英社新書 「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の論理」 デヴィッド・グレーバー著 岩波書店 斎藤幸平は…
ついに。 実は私も…… 「毒親と絶縁する」古谷経衡著 集英社新書 2019年3月。古谷さんがツィッターとメルマガで、親から受けた仕打ちと決別について書いていた。 とても興味深かった。なぜなら私自身、実家とは絶縁して久しいからだ。 その後どうなったのかな…
新型コロナウイルス感染拡大の今現在、読んでおきたい一冊。 「コロナの時代の僕ら」 パオロ・ジョルダーノ著 飯田亮介訳 早川書房 気が散らなければ、2〜3時間で読み終わる。 図書館も閉まっており、コロナパンデミックが身近になってから、私は実のところ…
こんなドラマのようなことが本当にあるとは… 「毒親介護」 石川結貴/文春新書 介護問題は子育て問題と深い関係があるのだな、と思った。 ひとつは、精神的にも肉体的にも、たったひとりの能力許容範囲を越えている、という意味で。 もうひとつは、毒親とそ…
森有正の「バビロンの流れのほとりにて」「砂漠に向かって」を図書館で借りた。 昭和43年と45年が初版第一刷の書物だ。 森有正の名前には記憶があった。 森有正が翻訳したアランの「わが思索のあと」を持っているからだ。 けれども恥ずかしながら、私はこの…
モンテーニュは、「死」と常に向き合っていた人です。 ミシェル・ド・モンテーニュ 1533年2月28日 ~1592年9月13日 16世紀ルネサンス期のフランスを代表する哲学者。モラリスト、懐疑論者、人文主義者。現実の人間を洞察し人間の生き方を探求して綴り続けた…
私は、率直に言って、嫌われるタイプの人間です。なぜなら、長いものに巻かれないし、主従的関係を忖度してお付き合いしたり、自分の意に反して誰かを持ち上げたりしません。えばっている人にヘコヘコ挨拶したり、医者にお金を渡したりしません。つまるとこ…
なんと優しいコトバの本だろう。 「本を読めなくなった人のための読書論」 若松英輔/亜紀書房 著者の存在を知ったきっかけを私ははっきりとは覚えていない。おそらくツィッターのなかだったのではないか、と思う。その発信に惹かれてフォローしたのだと思う…
2年ほど前、「意識高い系の研究(文春新書)」という書物を読んだ。「意識高い系」とは何ぞやと考えていたところだったで、大変勉強になった。著者がラジオで「意識高い系」について喋るというので、しっかりチェックして仕事中に聞いたりもした。仕事とい…
息子が、学校の図書館でこの題名を見たことがあるけど「殺しましたか?」が怖くて読まなかった、と言う。私は、この本の存在を全く知らなかった。 さっそく読んでみた。 「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 アレン・ネルソン/講談社文庫 著者は…