読書エッセイ
楽しくて素敵な本です。 「アフロえみ子の四季の食卓」 稲垣えみ子著 マガジンハウス 軽快な著者の筆致と著者がつくる日々の質素な食事のカラー写真がページを彩る。 面白くて、楽しくて、読書はどんどん進む。 それにしても、稲垣えみ子の著述は愉快だ。な…
いち読者が余計なことだけど、マガジンハウス、良い本つくってるなぁ。前回取り上げたヤマザキマリの「扉の向う側」もマガジンハウスだった。 「家事か 地獄か 最期まですっくと生き抜く唯一の選択」 稲垣みえ子著 マガジンハウス 稲垣みえ子といえば「もう…
旅エッセイはやっぱりいいなぁ。 「扉の向う側」 ヤマザキマリ マガジンハウス 雑誌「ku:nel (クウネル)」連載のエッセイの書籍化。 私は旅エッセイが好きだ。読んでいてなんとなく行った気になれるし、普段の生活環境とは違う独特の雰囲気と香りが漂ってく…
ものすごいエネルギーだ。 「今日の芸術」(新装版) 岡本太郎 光文社文庫 なんだかすっごいことが書いてある。 ひとことで言えば「芸術は爆発だ!」に尽きる。 1954年に光文社から出版されたものの新装版。先日取り上げた大江健三郎の「同時代論集」もそう…
あ、それはgoodな方法だな、と思った。 「物語は人生を救うのか」 千野帽子著 ちくまプリマー新書 これは「人はなぜ物語を求めるのか」の続編だ。 私たちは、常にストーリーを組み立てて生きている、という。 それは良いときもあるし、悪いときもある。 確か…
ここ数年に書かれたものかと錯覚する。 「想像力と状況」 新装版 大江健三郎同時代論集3 岩波書店 まったくもって現在のことを考察し論評しているのではないか、と思ってしまう著述は、実は意外と結構あるものだ。 とくに、戦前戦中戦後に書かれたものが、…
「CARPE DIEM」という言葉が私は好きだ。 「CARPE DIEM 今この瞬間を生きて」 ヤマザキマリ著/エクスナレッジ 「いまを生きる」(1989アメリカ/原題Dead Poets Society)という映画がある。第62回アカデミー賞脚本賞を受賞している作品だ。 ロビン・ウィリ…
津村記久子著「枕元の本棚」(実業之日本社文庫)のなかで紹介されていたので、図書館で借りて読んだ。「枕元の本棚」を読むまで、この本の存在を知らなかった。 「余命18日をどう生きるか」 田村恵子著 朝日新聞出版 「君は永遠にそいつらより若い」を映画…
めまいを発症してから、読書には注意してきた。 長い時間続けて読まないこと。下を向いて読まないこと。 30分〜60分に一度は身体を動かすこと。すなわち腕を回して肩甲骨や首をほぐす。 次から次へと読まないこと。 だが、ずいぶんと具合が良くなってくると…
著者の繊細さに心が安らぐ本。 「編めば編むほどわたしはわたしになっていった」 三國万里子著/新潮社 著者のことを知らなかった。この本にたどり着いた経緯も覚えていない。たぶん誰かがネットで紹介したのだと思う。 著者は編み物作家。だから「編めば編…
心が軽くなった一冊。そして味噌汁をつくろう。 「もうレシピ本はいらない」 稲垣えみ子著/マガジンハウス 稲垣えみ子(1965年生)は朝日新聞の記者だった。2016年に朝日新聞を退社してフリーになった。書籍なども多数あり、なかなかの人気作家だ。 私はTBS…
著者独特の語り口(文体)が、興味深い内容をますます面白くしている。 「くよくよマネジメント」 津村記久子著 清流出版 社会、出来事、世間の人々と著者自身の関係性、そこに発生する様々な状況とそれに対する著者の感想、ときに愚痴や弱音や疑問や正義が…
<HNK「あさイチ」で原田マハさんが紹介!>というラベルが本のスリーブに貼られている。 原田マハはこの本を読み込んで、早稲田大学第二文学部(美術)を受験して合格したということだ。 「美術の物語」 エルンスト・H・ゴンブリッチ 河出書房新社 すごく分…
久しぶりの小説。面白い。 「この世にたやすい仕事はない」 津村記久子著 日本経済新聞出版 新潮文庫 「お仕事小説」という宣伝文句があったので、もうちょっと違った雰囲気の物語を想像していた。 お仕事小説というよりも、ミステリー小説とでも言ったほう…
こういうことって意外とある。 つまり、シンクロニシティ。 映画「君は永遠にそいつらより若い」を観た。WOWOWのプログラムガイドを眺めていて、もしかしてこれ面白いかな、と思って録画しておいたのだった。 そして、その原作小説があることを知った。さら…
「還暦のシンデレラガール」 竹原芳子(どんぐり)著 サンマーク出版 58歳で映画「カメラを止めるな!」に出演。その名前と小柄でスリムな体型に独特のおかっぱ頭が全国に知れ渡った竹原芳子。 2022年5月、カンヌ映画祭の会場にいる竹原の姿を報道で目撃した…
『世界は「使われなかった人生」であふれてる』 沢木耕太郎著/暮しの手帖 私が思うところの「ありえたかもしれない人生」が分かりやすく描かれていた直近(2022年2月現在)の日本のドラマは、「天国と地獄〜サイコな2人〜」ではないだろうか。TBS「日曜劇…
『世界は「使われなかった人生」であふれてる』 沢木耕太郎著/暮しの手帖社 ①では、この書物の冒頭部分を引用しながら、「使われなかった人生」「ありえたかもしれない人生」についてあれこれ考えてみた。 そもそも私は、この本を読んで期待外れ感を否めな…
『世界は「使われなかった人生」であふれてる』 沢木耕太郎著/暮しの手帖社 これは「暮しの手帖」に連載中の映画評論から三十編を選び、前後に映画にまつわるエッセイを配して一冊にしたものである。 (「あとがき」P285) 人生についての考察や、著者の本…
「挑発する少女小説」 斎藤美奈子著 河出新書 家庭小説(少女小説)とはつまり、宗教教育や家政教育を含めて、よき家庭婦人を育てるための良妻賢母の製造装置だったわけです。 (「挑発する少女小説」P4) あ、そうだったんですね。なるほど。 でも私は物語…
久々のバシャール。面白かった。 「BASHAR×Naokiman Show 望む未来へ舵を切れ!」 ナオキマンショー ダリル・アンカ/VOICE 購入して読もうという気は全くなかったのだが、シンクロニシティが起きて思わず知らず買っていた。 読んでますます驚いた。 この本…
②で言及した「竹宮と増山」の増山さん。 「一度きりの大泉の話」 萩尾望都/河出書房新社 増山法恵。竹宮惠子の「変奏曲」シリーズの原作者である。 私が「ヴィレンツ物語」「変奏曲」に感動していた頃には、増山法恵の名前を見たことはなかった。今回のこの…
萩尾が苦しんだ出来事、それは大泉で起きた。 大泉に住んでいた時代のことはほとんど誰にもお話しせず、忘れてというか、封印していました。 しかし今回は、その当時の大泉のことを初めてお話ししようと思います。 と本の帯にある。 「一度きりの大泉の話」 …
私も封印していた(何を封印していたかは③で→)。 「一度きりの大泉の話」萩尾望都/河出書房新社 タイトルを見ただけでは、いったい何について書かれているのか分からない。 この本の発売について全く情報を得ていなかった。もしかしたらどこかで目にしてい…
今私の手元に2冊の「旅エッセイ」本がある。 「ヤマザキマリの世界逍遥録」KADOKAWA 「行った気になる世界遺産」鈴木亮平/ワニブックス 私はヤマザキマリの大ファンだ。 いつからそうなったのか定かでないのだが、彼女の視点と発信が気に入っていて、気づ…
いやなことをいやだと言えない社会は不健全だが、逆にそうできることは珍しいのかもしれない。 日常を散策するⅠ「本の虫ではないのだけれど」 日常を散策するⅡ「不器用な日々」 日常を散策するⅢ「あいまいさを引きうけて」 清水眞砂子/かもがわ出版 学生時…
「成長の大部分はひとりでいる時に起こる」 E・L・カニグズバーグ(児童文学作家/アメリカ) 日常を散策するⅠ「本の虫ではないのだけれど」 日常を散策するⅡ「不器用な日々」 日常を散策するⅢ「あいまいさを引きうけて」 清水眞砂子/かもがわ出版 短大在職…
清水眞砂子のエッセイを読んでいると、20年前のエッセイなのに、まるで今のことかと錯覚する。 日常を散策するⅠ「本の虫ではないのだけれど」 日常を散策するⅡ「不器用な日々」 日常を散策するⅢ「あいまいさを引きうけて」 清水眞砂子/かもがわ出版 そして…
ある日曜日の早朝。5時半ごろ。 たまたまテレビのチャンネルがEテレに合った。「こころの時代〜宗教・人生〜/己の影を抱きしめて」 ひとりの白髪の女性が話していた。とても興味深い内容だった。そのまま最後まで視聴。 その人は清水眞砂子だった。「ゲド戦…
天才の理想像。 本当に宇宙人なのかもしれない。 「デジタルとAIの未来の語る」 オードリー・タン著/プレジデント社 オードリー・タンは、天才プログラマーで、台湾のデジタル担当政務委員。日本では、デジタル大臣という通称とコロナ禍のマスクマップ政策…