「老い」の哲学
これは……… 「人生後半の戦略書」 アーサー・C・ブルックス SB Creative この本を読む前に、千葉雅也の「センスの哲学」を読んでいた。千葉の指南に従って、「意味」を見出すのではなく「リズム」と「形(フォーム)」に焦点を合わせて読むことにした。 読む…
誰も老いたくはないけれど… 「人はどう老いるのか」 久坂部羊 講談社現代新書 久坂部羊は医師で作家。 どんな小説書いてるのかな、と思って検索したところ、「無痛〜診える眼」というドラマの原作者だった。西島秀俊主演の、ちょっとミステリアスでちょっと…
「CARPE DIEM」という言葉が私は好きだ。 「CARPE DIEM 今この瞬間を生きて」 ヤマザキマリ著/エクスナレッジ 「いまを生きる」(1989アメリカ/原題Dead Poets Society)という映画がある。第62回アカデミー賞脚本賞を受賞している作品だ。 ロビン・ウィリ…
めまいを発症してから、読書には注意してきた。 長い時間続けて読まないこと。下を向いて読まないこと。 30分〜60分に一度は身体を動かすこと。すなわち腕を回して肩甲骨や首をほぐす。 次から次へと読まないこと。 だが、ずいぶんと具合が良くなってくると…
これは、倍賞千恵子の柔らかいイメージとちがって、まったくもって恐ろしい映画だった。 「PLAN75」(2022年日本 フランス フィリピン カタール) 監督 脚本/早川千絵 出演/倍賞千恵子 磯村勇斗 他 この映画の宣伝だったと思うのだが、倍賞千恵子が歌をう…
「還暦のシンデレラガール」 竹原芳子(どんぐり)著 サンマーク出版 58歳で映画「カメラを止めるな!」に出演。その名前と小柄でスリムな体型に独特のおかっぱ頭が全国に知れ渡った竹原芳子。 2022年5月、カンヌ映画祭の会場にいる竹原の姿を報道で目撃した…
「カムカムエヴリバディ」 NHK2021年後期朝ドラ(2021年11月〜2022年4月) 脚本/藤本有紀 出演/上白石萌音 深津絵里 川栄李奈 オダギリジョー他 若い時に自分がしたこと、してしまったことをひどく後悔している2人がいる。 雪衣(岡田結実/多岐川裕美)…
『世界は「使われなかった人生」であふれてる』 沢木耕太郎著/暮しの手帖 私が思うところの「ありえたかもしれない人生」が分かりやすく描かれていた直近(2022年2月現在)の日本のドラマは、「天国と地獄〜サイコな2人〜」ではないだろうか。TBS「日曜劇…
『世界は「使われなかった人生」であふれてる』 沢木耕太郎著/暮しの手帖社 ①では、この書物の冒頭部分を引用しながら、「使われなかった人生」「ありえたかもしれない人生」についてあれこれ考えてみた。 そもそも私は、この本を読んで期待外れ感を否めな…
『世界は「使われなかった人生」であふれてる』 沢木耕太郎著/暮しの手帖社 これは「暮しの手帖」に連載中の映画評論から三十編を選び、前後に映画にまつわるエッセイを配して一冊にしたものである。 (「あとがき」P285) 人生についての考察や、著者の本…
興味深いドラマ。久しぶりに民放テレビドラマを取り上げる。 もう終わっちゃうの?続きが観たい!と思わせてくれる民放のドラマはどのくらぶりだろう。 「ミステリと言う勿れ」フジテレビ 月曜日夜9時 脚本/相沢友子 原作コミック/田村由美 出演/菅田将暉…
さて、人生回収(総括 統合)についてここまで随想してきた私はこう思った。 たいていのネガティブ記憶は「相手のせいにしちゃおう」「あの人がいけなかったんだと解釈しよう」と。私の場合とくに、本音と建前というものを上手に使い分けることができない性…
NHK朝ドラ「おかえりモネ」(2021年前期) 脚本/安達奈緒子 出演/清原果耶 蒔田彩珠 坂口健太郎 内野聖陽 鈴木京香 他 「第21週(101話〜105話)胸に秘めた思い」では、前の記事で紹介した70歳の女性相談者さん(医師からすれば患者さん)と似通った打ち明…
河合隼雄の『「老いる」とはどういうことか』という著書のなかに、「秘密の功罪」というタイトルのコラムがある。とても興味深いので、長くなるが引用する。 河合はまず、名古屋で精神科を開業している大橋一恵という医師が、老年期について論じているなかの…
2021年。 すでに risakoyu.hatenablog.com この記事で振り返りましたが、別の視点で振り返っておこうと思いました。 昨年に引き続きコロナパンデミックのなかでの一年でした。この2年の間、季節の移り変わりや年月の経過がうまく体感できていないように思い…
「秘密」というのはどこに存在しているかというと「過去」である。すなわち「思い出」「記憶」のなかだ。 「秘密」などと言うといささか大げさに聞こえるので、単に「思い出」と言えばそれで済むかもしれない。 『「老いの哲学(3)」人生の終わりの厄介な恋…
『「老い」の哲学〈+α〉人生の回収』を書いていたら、なんともどう解釈したらよいのか分からない出来事にぶち当たってしまった。 これはいったいなんなんだろう? 具体的に書くことはできない。なぜならあまりにもリアルで多くの日本人が知り得ているであろ…
今年を振り返るにはまだ少し早いが、大谷翔平がMVPを受賞したこともあるので、さっそく振り返ってみた。 え?大谷?MVP?いやいや関係ないでしょう、と思われるかもしれませんが、やはり「今年のポジティブは大谷だ」と感じているので。 今年の私は、5月中頃…
「人生の回収②」のテキストで「今の私をつくっている栄養素を知覚することは、楽しいこともあれば、苦痛もある」と書いた。 その「苦痛」である。 そこは実は見たくないところであり、できれば焼却したいのだが、それらがなくなることは決してない。ゆえに向…
「挑発する少女小説」 斎藤美奈子著 河出新書 家庭小説(少女小説)とはつまり、宗教教育や家政教育を含めて、よき家庭婦人を育てるための良妻賢母の製造装置だったわけです。 (「挑発する少女小説」P4) あ、そうだったんですね。なるほど。 でも私は物語…
テレビドラマには、サスペンスではなくてもストーリー展開のなかで「伏線」というものがある。あとから「ああ、あれはこのことだったのか」「あのときのあれでこの人は今こうなのか」と合点がいったりする。 ときに、伏線を覚えていなかったり、見逃していた…
60代、70代、80代……ともなりますと、人生の最後が否が応でも見えてくるのは誰の心にも共通していることでしょう。 だからなのか、それともさまざま引退して時間に余裕ができたからなのか、過去のことを思い出す回数が増えるようです。特に恋愛話はややこしい…
さて、タロットカードで老人を象徴するのはどのカードでしょうか。 No5「神官」も決して若い人物ではありませんが、明らかに老齢な人物はNo9「隠者」です。「隠者」は「俗世間をはなれて洞窟にこもり、なにやら熱心に探究を続ける人物」というイメージです。…
老いは突然やってくる? そのように感じる人は多いのではないでしょうか? 生まれたときから徐々に老化しているのに、そしてある年齢を過ぎればもう若くはないとどこかで感じているのに、鏡だって毎日見ているのに、どういうわけか、ある日突然やってきて驚…