ねことんぼプロムナード

タロット占い師のetc

「老い」の哲学

「アフロえみ子の四季の食卓」〜みそ汁談義〜稲垣えみ子流簡素生活でハッピー

楽しくて素敵な本です。 「アフロえみ子の四季の食卓」 稲垣えみ子著 マガジンハウス 軽快な著者の筆致と著者がつくる日々の質素な食事のカラー写真がページを彩る。 面白くて、楽しくて、読書はどんどん進む。 それにしても、稲垣えみ子の著述は愉快だ。な…

「家事か 地獄か」〜これはいわゆる「脱成長」じゃないか〜そして「今を生きる」のだ

いち読者が余計なことだけど、マガジンハウス、良い本つくってるなぁ。前回取り上げたヤマザキマリの「扉の向う側」もマガジンハウスだった。 「家事か 地獄か 最期まですっくと生き抜く唯一の選択」 稲垣みえ子著 マガジンハウス 稲垣みえ子といえば「もう…

「CARPE DIEM 今この瞬間を生きて」ヤマザキマリ著〜アンチエイジングの呪縛から解放されるには

「CARPE DIEM」という言葉が私は好きだ。 「CARPE DIEM 今この瞬間を生きて」 ヤマザキマリ著/エクスナレッジ 「いまを生きる」(1989アメリカ/原題Dead Poets Society)という映画がある。第62回アカデミー賞脚本賞を受賞している作品だ。 ロビン・ウィリ…

無理の話〜止められない読書と読書の限界

めまいを発症してから、読書には注意してきた。 長い時間続けて読まないこと。下を向いて読まないこと。 30分〜60分に一度は身体を動かすこと。すなわち腕を回して肩甲骨や首をほぐす。 次から次へと読まないこと。 だが、ずいぶんと具合が良くなってくると…

映画「PLAN75」〜高齢者の命の選択〜倍賞千恵子の透明感

これは、倍賞千恵子の柔らかいイメージとちがって、まったくもって恐ろしい映画だった。 「PLAN75」(2022年日本 フランス フィリピン カタール) 監督 脚本/早川千絵 出演/倍賞千恵子 磯村勇斗 他 この映画の宣伝だったと思うのだが、倍賞千恵子が歌をう…

「もうレシピ本はいらない」〜自由を獲得した著者〜タロットカードは「隠者」

心が軽くなった一冊。そして味噌汁をつくろう。 「もうレシピ本はいらない」 稲垣えみ子著/マガジンハウス 稲垣えみ子(1965年生)は朝日新聞の記者だった。2016年に朝日新聞を退社してフリーになった。書籍なども多数あり、なかなかの人気作家だ。 私はTBS…

竹原芳子著「還暦のシンデレラガール」〜「カメラを止めるな!」俳優が語るシンデレラストーリーと「自分らしさ」

「還暦のシンデレラガール」 竹原芳子(どんぐり)著 サンマーク出版 58歳で映画「カメラを止めるな!」に出演。その名前と小柄でスリムな体型に独特のおかっぱ頭が全国に知れ渡った竹原芳子。 2022年5月、カンヌ映画祭の会場にいる竹原の姿を報道で目撃した…

「カムカムエヴリバディ」② 罪悪感を背負って生きていた算太と雪衣〜秘密を語る③<老いの哲学 人生の回収⑧>

「カムカムエヴリバディ」 NHK2021年後期朝ドラ(2021年11月〜2022年4月) 脚本/藤本有紀 出演/上白石萌音 深津絵里 川栄李奈 オダギリジョー他 若い時に自分がしたこと、してしまったことをひどく後悔している2人がいる。 雪衣(岡田結実/多岐川裕美)…

ドラマ「天国と地獄〜サイコなふたり〜」〜happier〜『世界は「使われなかった人生」であふれてる』③〜使われなかった人生は「あとのまつり」なのか「老年期の希望」なのか

『世界は「使われなかった人生」であふれてる』 沢木耕太郎著/暮しの手帖 私が思うところの「ありえたかもしれない人生」が分かりやすく描かれていた直近(2022年2月現在)の日本のドラマは、「天国と地獄〜サイコな2人〜」ではないだろうか。TBS「日曜劇…

『世界は「使われなかった人生」であふれてる』②〜ありえたかもしれない別の人生の自分を考えるための映画やテレビドラマ〜「老い」の哲学

『世界は「使われなかった人生」であふれてる』 沢木耕太郎著/暮しの手帖社 ①では、この書物の冒頭部分を引用しながら、「使われなかった人生」「ありえたかもしれない人生」についてあれこれ考えてみた。 そもそも私は、この本を読んで期待外れ感を否めな…

『世界は「使われなかった人生」であふれてる』①〜ありえたかもしれない別の人生の自分〜「老いの哲学」と「運命論」

『世界は「使われなかった人生」であふれてる』 沢木耕太郎著/暮しの手帖社 これは「暮しの手帖」に連載中の映画評論から三十編を選び、前後に映画にまつわるエッセイを配して一冊にしたものである。 (「あとがき」P285) 人生についての考察や、著者の本…

「ミステリと言う勿れ」〜癒やしの論理と社会性〜ついでながら「老いの哲学 人生回収⑦」の補足として〜

興味深いドラマ。久しぶりに民放テレビドラマを取り上げる。 もう終わっちゃうの?続きが観たい!と思わせてくれる民放のドラマはどのくらぶりだろう。 「ミステリと言う勿れ」フジテレビ 月曜日夜9時 脚本/相沢友子 原作コミック/田村由美 出演/菅田将暉…

人生の回収⑦〜タロットカード「No20審判」〜思い出と人生の精算〜「老い」の哲学〈+α〉=60歳からのわがままタロットセラピー19=

さて、人生回収(総括 統合)についてここまで随想してきた私はこう思った。 たいていのネガティブ記憶は「相手のせいにしちゃおう」「あの人がいけなかったんだと解釈しよう」と。私の場合とくに、本音と建前というものを上手に使い分けることができない性…

「おかえりモネ」〜罪悪感の罠 秘密を語る②〜人生の回収⑥〜「老い」の哲学〈+α〉〜「カップ6」「No15 悪魔」「ワンド9」〜

NHK朝ドラ「おかえりモネ」(2021年前期) 脚本/安達奈緒子 出演/清原果耶 蒔田彩珠 坂口健太郎 内野聖陽 鈴木京香 他 「第21週(101話〜105話)胸に秘めた思い」では、前の記事で紹介した70歳の女性相談者さん(医師からすれば患者さん)と似通った打ち明…

罪悪感の罠 秘密を語る①〜人生の回収⑤〜「老い」の哲学〈+α〉タロットカード「カップ6」

河合隼雄の『「老いる」とはどういうことか』という著書のなかに、「秘密の功罪」というタイトルのコラムがある。とても興味深いので、長くなるが引用する。 河合はまず、名古屋で精神科を開業している大橋一恵という医師が、老年期について論じているなかの…

2021年の収穫〜「楽しい」を選択するとき〜能力と必要に応じて

2021年。 すでに risakoyu.hatenablog.com この記事で振り返りましたが、別の視点で振り返っておこうと思いました。 昨年に引き続きコロナパンデミックのなかでの一年でした。この2年の間、季節の移り変わりや年月の経過がうまく体感できていないように思い…

人生の回収④〜タロットカード「カップ6」〜秘密は過去に存在している〜「老い」の哲学〈+α〉

「秘密」というのはどこに存在しているかというと「過去」である。すなわち「思い出」「記憶」のなかだ。 「秘密」などと言うといささか大げさに聞こえるので、単に「思い出」と言えばそれで済むかもしれない。 『「老いの哲学(3)」人生の終わりの厄介な恋…

人生の回収 番外編〜このシンクロニシティを読み解けない〜知人の出世とドラクエ〜「老い」の哲学〈+α〉

『「老い」の哲学〈+α〉人生の回収』を書いていたら、なんともどう解釈したらよいのか分からない出来事にぶち当たってしまった。 これはいったいなんなんだろう? 具体的に書くことはできない。なぜならあまりにもリアルで多くの日本人が知り得ているであろ…

コロナパンデミックの世界で大谷翔平に救われた〜加えて 藤井竜王 新庄ビッグボス〜2021年 今年を振り返る〜

今年を振り返るにはまだ少し早いが、大谷翔平がMVPを受賞したこともあるので、さっそく振り返ってみた。 え?大谷?MVP?いやいや関係ないでしょう、と思われるかもしれませんが、やはり「今年のポジティブは大谷だ」と感じているので。 今年の私は、5月中頃…

ヤマザキマリファンの私が心痛すること〜「老い」の哲学〈+α〉人生の回収③〜

「人生の回収②」のテキストで「今の私をつくっている栄養素を知覚することは、楽しいこともあれば、苦痛もある」と書いた。 その「苦痛」である。 そこは実は見たくないところであり、できれば焼却したいのだが、それらがなくなることは決してない。ゆえに向…

「挑発する少女小説/斎藤美奈子」〜人生の回収②〜「老い」の哲学〈+α〉=60歳からのわがままタロットセラピー19=

「挑発する少女小説」 斎藤美奈子著 河出新書 家庭小説(少女小説)とはつまり、宗教教育や家政教育を含めて、よき家庭婦人を育てるための良妻賢母の製造装置だったわけです。 (「挑発する少女小説」P4) あ、そうだったんですね。なるほど。 でも私は物語…

人生の回収①〜私の人生の伏線がここにあった〜「老い」の哲学〈+α〉=60歳からのわがままタロットセラピー19=

テレビドラマには、サスペンスではなくてもストーリー展開のなかで「伏線」というものがある。あとから「ああ、あれはこのことだったのか」「あのときのあれでこの人は今こうなのか」と合点がいったりする。 ときに、伏線を覚えていなかったり、見逃していた…

「老い」の哲学(3)人生の終わりの厄介な恋愛秘話〜思い出カード「カップ6」=60歳からのわがままタロットセラピー19=

60代、70代、80代……ともなりますと、人生の最後が否が応でも見えてくるのは誰の心にも共通していることでしょう。 だからなのか、それともさまざま引退して時間に余裕ができたからなのか、過去のことを思い出す回数が増えるようです。特に恋愛話はややこしい…

「老い」の哲学(2)この老人は誰?〜隠者の孤独と自由=60歳からのわがままタロットセラピー19=

さて、タロットカードで老人を象徴するのはどのカードでしょうか。 No5「神官」も決して若い人物ではありませんが、明らかに老齢な人物はNo9「隠者」です。「隠者」は「俗世間をはなれて洞窟にこもり、なにやら熱心に探究を続ける人物」というイメージです。…

「老い」の哲学(1)〜自分が老人だと気づく瞬間〜塔をうつ稲妻は青天の霹靂〜我慢より我儘=60歳からのわがままタロットセラピー19=

老いは突然やってくる? そのように感じる人は多いのではないでしょうか? 生まれたときから徐々に老化しているのに、そしてある年齢を過ぎればもう若くはないとどこかで感じているのに、鏡だって毎日見ているのに、どういうわけか、ある日突然やってきて驚…