ねことんぼプロムナード

新しいルネサンスの小径

私が「ヨーコさんの言葉」にたどり着いた道のり~早朝にEテレの語学番組を観たご褒美~

近頃私は、日本のテレビ番組がつまらない、と思っている。

茂木健一郎も言っているようにニュース番組もバラエティ番組も「ぬるい」。ついにドラマも精彩を欠いているのが目立ってきた。

ようするに「井の中の蛙大海を知らず」な人たち、パワハラ根性と自己承認欲求と支配欲にまみれた権力依存主義の「知ってるつもり」の人たち、が大威張りで、快適な労働環境や人権無視で、視聴者を軽蔑して愚弄しながらつくっているからだろう。視聴者はバカだからと言っている当の本人たちがバカなのである。

 

そういうわけで、早起きの私は朝、観るニュース番組がなくなってしまった。天気予報だけは知りたいのでなんとかこらえて繰り返し流される気持ちの悪い悪質犯罪や気味の悪い政治家の顔と発言、火事と芸能スポーツに耐えながらニュース番組を流している。

5時半になるとEテレにチャンネルを変える。平日の6時からは語学番組の再放送がある。なかなか面白い。昔と大分違っていて、「旅するフランス語」「旅するイタリア語」などというタイトルで、本当に旅をしながらの語学学習なので楽しい。旅番組のかわりになる。ついでに言葉も覚えられる。フランス語は黒木華、イタリア語は田辺誠一、ドイツ語は前川泰之スペイン語竹財輝之助という俳優たちが、案内役であり先生役のバイリンガルとともに旅をする。

なかでも黒木華のフランス語旅が興味深い。黒木の学習とレポートの様子がとても好感が持てる。人形劇体験では、習いたてのフランス語も上手で声がお腹の底から出ているのに感心した。役者だから当たり前だと思うかもしれないが、そうでもない俳優や声優がけっこういることを思い浮かべると、彼女は生まれながらの役者なんだろうな、とふと思う。それ以来「旅するフランス語」は欠かさず視聴するようにしている。

日本のニュース番組を避けるための方法はそれだけではない。CNNを見ることもあるし、海外ドラマのチャンネルを選択することも多々ある。2019年2月の時点ではスーパードラマTVで6時から「スタートレック」を放送しているのでちょうどよい。ときどき映画も観るが、朝っぱら入り込んでしまうとよくないことに気づき、興味のある映画は録画してあとから観たりもする。

ちなみに、いわゆる夜のゴールデンタイムも、視聴欲をそそられる番組が少ないので、ちょうど面白い映画がCSやBSで放送されているときはそちらを観る。

そういえばWOWOWその他に入ってから最近よく映画を観るようになった。オリジナルドラマを観るのが目的だったが、飽きるまでこんな状態が続くんだろうな、と自分を遠目に観察している。

そうです。人はその時やりたいことをやりたいようにすればいい。

 

そんなこんなで早朝のEテレを楽しんでいたところ、水曜日の5時半から「100分de名著」の再放送をしていることに気づいた。録画してあるけどちょういいから観ちゃおう、と軽い気持ちで視聴。この番組は5時55分に終わる。

そして、5時55分から不思議な番組が始まった。

ちょっとしたエッセイが、その内容に会った挿絵とともに、朗読される。

なにこれ?「ヨーコさんの言葉」っていうんだぁ。

語られている事も全体の雰囲気も非常に味がある。風刺も効いている。

これはいったい誰の作品?ヨーコさんって誰?

調べてみると、なんと「ヨーコさん」の正体は「佐野洋子」だった。あの有名な「100万回生きたねこ 」の作者。

エッセイもたくさん書いているようだ。そこからNHKが厳選して「ヨーコさんの言葉」にしたんだ、ということが判明した。

この「ヨーコさんの言葉」は、佐野洋子のエッセイ集とは別に、絵本仕立ての書籍になって出版されている。どちらも読んでみたが(エッセイ集のほうはざっと)、Eテレの番組から「ヨーコさんの言葉」に嵌ったせいか、エッセイ集より絵本仕立ての「ヨーコさんの言葉」のほうがしっくりくる。厳選集であることも手伝っているのかもしれない。

もっと驚いたのは、ヨーコさんが谷川俊太郎と結婚していた、ということだ。ということは、「ヨーコさんの言葉」に出てくる何もしない夫、離婚した夫って、谷川俊太郎のことなんだ。

いろいろ分かってくるとますます面白い。

 

佐野洋子が2010年に亡くなっていたことは、「ヨーコさんの言葉」で語られている病気のことを知るまで気づかなかった。

乳がんで手術をした、というエッセイ。「2008年冬」というタイトルなので、この2年後に亡くなったのですね。

享年72歳。ご存命だったら今年(2019年)81歳か。まだまだ活躍してほしかった、と著者の死後9年も経てから思っている私。

 

良い人ほど早く死ぬって本当だな、と最近つくづく思ったりもしている。佐野洋子が良い人だったのかどうなのかはその実を知ってはいないのだが、「ヨーコさんの言葉」は人間や社会、世界の本質を鋭くついていて、掛け替えのない作家のひとりだったのではないか、と少なくとも私は思った。

 

その「2008年冬」というエッセイが、なんとも味わい深い。

タロティストである私が現在取り組んでいる「死神幸福論」と符号した。

それについては別の記事で……