読書エッセイ
社会運動に関する本だが、それだけではない、あらゆる人生、生活の場面に通底することが書いてある。 『みんなの「わがまま」入門』 富永京子著/左右社 富永京子、立命館大学准教授。私が著者の存在を知ったのは、朝の情報番組「モーニングクロス」(東京MX…
ずっと変だな、と感じていたことがある。 それが、これらの本を読んで「あ、これだったのか」と合点がいった。 「人新世の資本論」斎藤幸平著 集英社新書 「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の論理」 デヴィッド・グレーバー著 岩波書店 斎藤幸平は…
ついに。 実は私も…… 「毒親と絶縁する」古谷経衡著 集英社新書 2019年3月。古谷さんがツィッターとメルマガで、親から受けた仕打ちと決別について書いていた。 とても興味深かった。なぜなら私自身、実家とは絶縁して久しいからだ。 その後どうなったのかな…
新型コロナウイルス感染拡大の今現在、読んでおきたい一冊。 「コロナの時代の僕ら」 パオロ・ジョルダーノ著 飯田亮介訳 早川書房 気が散らなければ、2〜3時間で読み終わる。 図書館も閉まっており、コロナパンデミックが身近になってから、私は実のところ…
こんなドラマのようなことが本当にあるとは… 「毒親介護」 石川結貴/文春新書 介護問題は子育て問題と深い関係があるのだな、と思った。 ひとつは、精神的にも肉体的にも、たったひとりの能力許容範囲を越えている、という意味で。 もうひとつは、毒親とそ…
森有正の「バビロンの流れのほとりにて」「砂漠に向かって」を図書館で借りた。 昭和43年と45年が初版第一刷の書物だ。 森有正の名前には記憶があった。 森有正が翻訳したアランの「わが思索のあと」を持っているからだ。 けれども恥ずかしながら、私はこの…
モンテーニュは、「死」と常に向き合っていた人です。 ミシェル・ド・モンテーニュ 1533年2月28日 ~1592年9月13日 16世紀ルネサンス期のフランスを代表する哲学者。モラリスト、懐疑論者、人文主義者。現実の人間を洞察し人間の生き方を探求して綴り続けた…
私は、率直に言って、嫌われるタイプの人間です。なぜなら、長いものに巻かれないし、主従的関係を忖度してお付き合いしたり、自分の意に反して誰かを持ち上げたりしません。えばっている人にヘコヘコ挨拶したり、医者にお金を渡したりしません。つまるとこ…
なんと優しいコトバの本だろう。 「本を読めなくなった人のための読書論」 若松英輔/亜紀書房 著者の存在を知ったきっかけを私ははっきりとは覚えていない。おそらくツィッターのなかだったのではないか、と思う。その発信に惹かれてフォローしたのだと思う…
2年ほど前、「意識高い系の研究(文春新書)」という書物を読んだ。「意識高い系」とは何ぞやと考えていたところだったで、大変勉強になった。著者がラジオで「意識高い系」について喋るというので、しっかりチェックして仕事中に聞いたりもした。仕事とい…
息子が、学校の図書館でこの題名を見たことがあるけど「殺しましたか?」が怖くて読まなかった、と言う。私は、この本の存在を全く知らなかった。 さっそく読んでみた。 「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 アレン・ネルソン/講談社文庫 著者は…
承前) 流れに任せて、ご縁をたどって生きていたら、気づいたら「いるべきところ」にいて、適切な機会を過(あやま)たず「なすべきこと」を果たしている。 (P94) 「そのうちなんとかなるだろう」 内田樹/マガジンハウス この書物を読む前からそうだとは…
承前) 親が我が子の才能、能力発揮の邪魔をするということはめったにないかもしれませんが、教師や師匠という類いの人々にはそれがあるようです。 それは嫉妬からくるのでしょう。 「そのうちなんとかなるだろう」 内田樹/マガジンハウス 親はめったにそん…
才能はそこに「ある」というより、そこで「生まれる」んです。 (P188) 「そのうちなんとかなるだろう」 内田樹/マガジンハウス 「なんとなく」いや、強烈に引き寄せられて購入。一気に読みました。 内田樹の半生が、子ども時代から小学校、中学校、高校、…
「感動が新鮮なうちに書く」というのは大事だ。 「あの時の悲劇はこの先の喜劇に」 noteへの村本大輔の投稿。 すばらしい。 この内容だけで小さなドラマが撮れそうだ。 夢中になると便秘になるのだな。 早朝5時ごろこの投稿に読みふけっていたら、トイレへ行…
老後の生活費用に2000万円貯めておけ、という金融庁からの提示がありました。 え? 年金だけじゃ生活していけないだろう、とご心配してくださっているようです。 え? 税金取り放題で、年金の受け取り額を減らし、受け取ることのできる年齢をどんどん引き上…
ヤマザキマリのエッセイが面白い。いや、ただ面白いだけではない。為になる。14歳から始まった海外放浪生活。放浪と言っては失礼かもしれないが、イタリアでの過酷な修行時代(?)のくだりを読むと、私の心には放浪という言葉が思い浮かんでくる。ヤマザキ…
「民主主義の死に方」 スティーブン・レビツキー/ダニエル・ジブラット 新潮社 昔々、知り合って間もない私の友人がこう言った。悪霊について書かれた本を読んで「これ私のことだって思ったんだよね」と。 信じるか信じないかはあなた次第ですの話になって…
「ヨーコさんの“言葉” わけがわからん」 佐野洋子×北村裕花 講談社 のなかに「2008年冬」というエッセイがある。 私が「ヨーコさんの言葉」にたどり着いた経緯は、別の記事に書いた(私が「ヨーコさんの言葉」にたどり着いた道のり~早朝にEテレの語学番組を…
「神になる」とはどういうことなのか? 人類は「飢饉、疫病、戦争」をコントロールできるようになった。現代はこれら3つの要因よりも「肥満、老化、自殺」で死ぬ人間のほうが多い。 となると、人類が次に求めるものは?「不死、幸福、神性」だと著者は言う…
先の記事【「日本の同時代小説」斎藤美奈子①】で、純文学という名の私小説の極めて日本的な鬱屈について書きました。 奇しくも2018年秋シーズンテレビドラマに「私小説/純文学作家」が登場していました。 「大恋愛~僕を忘れる君と~」TBS(2018年9月~1…
私はいわゆる日本の「純文学」なるものが好きではない。ものすごく素晴らしいもののように日本文学史で学習するけれど、それは「私小説」ってやつでそしてとてもネガティブだ、とずっと思ってきました。 「日本の同時代小説」 斎藤美奈子著/岩波新書 を読ん…
「ナナメの夕暮れ」 若林正恭著 文藝春秋 「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」(KADOKAWA)について書いたとき、はたして著者は、お笑い芸人としてかなり成功してそしてどう変化したのだろう、という疑問の余地を残しておきました。「表参道のセレ…
「失業しても幸せでいられる国 フランスが教えてくれること」 都留民子著 日本機関紙出版センター 「誰もが幸せになる 1日3時間しか働かない国」の記事でも書きましたが、 この本を読むと、日本という国は不幸な国だとしか言いようがありません。 この本の…
「誰もが幸せになる 1日3時間しか働かない国」 シルヴァーノ・アゴスティ著 マガジンハウス 小説です。 ルネサンス時代、トーマス・モアの「ユートピア」という小説がありましたが、これは社会批判の目的で書かれた色合いが濃く、のちにモアは処刑されます…
「いま 世界の哲学者が 考えていること」 岡本雄一朗著/ダイヤモンド社 という本があります。 この本では、古代から哲学がになってきたこと、そして現在の世界はどのような思想的状態にあるのかを、主要な思想家とその思想を紹介しながら示しています。 「…
「表参道のレセブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」 若林正恭/KADOKAWA 第3回斎藤茂太賞受賞 新しい旅文学の誕生を感じた。 と、帯にあります。審査員の椎名誠の推薦文です。 私もまったく同じ感想を持ちました。「ruta1」を読んだあと、いいあなぁこのエッセ…
「友だち幻想」 菅野仁/ちくまプリマー新書 ここで言う「幻想」とはすなわち「世間的に言われている常識」のことです。 この本の帯には 「みんな仲良く」という重圧に苦しんでいる人へ。 と書いてあります。 著者は言います。「みんなと仲良くなどできるな…
宮部みゆき作 「三島屋変調百物語六之続」 「黒武御神火御殿(くろたけごじんかごてん)」 「連載小説」というのが私は苦手だ。ましてや「新聞小説」などは読んだことがない。いや、本になれば読む。 昔々のことだが、ある友人も同じことを言っていた。気が…