久々のバシャール。面白かった。
「BASHAR×Naokiman Show 望む未来へ舵を切れ!」
ナオキマンショー ダリル・アンカ/VOICE
購入して読もうという気は全くなかったのだが、シンクロニシティが起きて思わず知らず買っていた。
読んでますます驚いた。
この本を読む2〜3日前、メールでの占い結果と助言を書いて相談者さんに送信していたのだが(私はタロット占い師です)、そこで書いた内容とかなりの部分で重なっていた。というか、ものすごく大げさに言うと、自分が書いたことがそのまま全部この本に書かれていた、という感覚。
占い内容としてはちょっと小難しくなってしまったかなとか、馴染みの相談者さんだから大丈夫だろうとか、少なからずの反省もしながら、今回の助言はこれ以上でもこれ以下でもないような気がする、などとごちゃごちゃ思っていた。
そこへやって来たこの書物。え〜!私が書いたことそのままじゃん。
もちろん、一字一句全部そのままというわけではない。内容的に、ということ。なかでも「情熱」というキーワード。いつもなら、いやこれまでなら、この言葉を使うことはまずほとんどなかったのだが、なぜか今回の占いでは自然と使ってしまっていた。しかも、それも良かったかどうかいささか戸惑っていた。けれどもこの本を読んで仰天した。バシャールが「情熱」と言っている。少なくともそう訳されている。
シンクロニシティというのは「それでOKだよ」というお知らせでもあるので、あれで良かったんだなと、ある意味この本のおかげで身勝手に納得することができた。
ナオキマンとは誰か?
僕は世間の常識を疑いたくなるような、ミステリー・都市伝説・陰謀論・スピリチュアルな世界をYou Tubeに投稿しているYou Tuberです。
(P1「まえがき」より)
私は、かなりのナオキマンショーのファンだ。動画はとても上手につくられている。欧米のドキュメンタリー番組の雰囲気がある。
バシャールというのは、エササニという惑星の宇宙存在いわゆる異星人で、アメリカ人のダリル・アンカをチャネラーとして、30年以上も前から地球人に向けてメッセージを送り続けている、そういう存在だ。
私がバシャールに夢中になっていたのは14〜5年ほど前で、それから新刊が出るとほぼ欠かさず読んできた。録音された講演も聴いていた。
日本人でも様々な人たちがバシャールと対談してきているが、なかには質問があまりにもお粗末で、バシャールに同情してしまうようなものもある。けれどもバシャールはどんな質問にもとても誠実に対応してくれる。
格闘家で参議院議員の須藤元気も対談している。議員になる前。「バシャール スドウゲンキ」は2007年に出版されている。この対談は東京で行われたようだ。バシャールと対談するような人だから、良い政治をしてくれるのではないかという期待もあった。今(2021年8月)は考え方の違いから立憲民主党を離れて無所属という立場だ。
私自身の人生のなかで精神的にひどく苦しかったときに、私はバシャール(の本)と出会っている。そして助けてもらったと私は思っている。
地球ほどネガティブな惑星を見たことがないというようなことをバシャールが言っていて、なぜかその言葉に救われたのだ。そうか地球がそうなんだ、と。詳細は別の機会に譲るが、とにかく「救われた」というのは間違いない。
さて、ナオキマンの質問はvery goodだ。とても興味深くて充実している。飛ばし読みしたくなるようなバカバカしい質問はいっさいない。
ひとつだけ「そこ訊いてよ」という事があり、それは未解決だ。すなわち、死んだあとの魂はどうなるのか、ということ。過去世とか転生輪廻とかないのであれば、じゃあ、どうなるんだ?バシャールはこの仏教的考え方は古いのでアップデートしなければいけないと言っているが、どう解釈するべきか今戸惑っている。
現在過去未来とパラレルワールドについても、体感的に理解しきれていないが、このあたりは今の地球人にはなかなか手ごわい感覚なのかもしれない。
ドイツの哲学者マルクス・ガブリエルの「なぜ世界は存在しないのか」も、なんとなく分かるが、ものすごくよく理解して腑に落ちているわけではない。その感覚と似ているような気がする。この気鋭の哲学者の新実存主義なるもの、そして彼が世間に語りかけているものが、ときにいわゆるスピリチュアルの匂いがするので、なんとなくだが、その世界観に共通部分があるように私は(極めて個人的に)感じている。
ところで他の惑星の人々や宇宙の歴史はともかくも、バシャールの言っていることは30年以上前から一貫している。
やっぱり「ワクワクに従え」なんだよね。
ワクワクしないことはしないほうがいい。情熱の赴くままに生きること。さすればシンクロニシティがどんどん起きてくる。人生はシンクロニシティの連続なんだ。自然に身を任せるとはそういうことなんだ。
でもそれができない(できていない)のが今の地球。
みんな本当の自分を生きていないから、世の中はギスギスしているし、おそらくほとんどの人が本当の意味で幸福じゃない(たぶん大多数の人が、大金持ちになってやりたい放題して支配的優越感にひたることが幸福だと思っている)。
なんとかそれを変えたいとメッセージを発信しつづけてくれているバシャール。おそらくそうしないと、地球人のレベルアップができないのだろう。
様々な質問とその答えについては、ぜひ本書を読んでください。
この読書エッセイで私がぜひとも書きたかったのは、ナオキマンについてなのです。
彼のYou Tubeでの発信に非常に好感が持てる理由は、その内容にも発信姿勢にもとても誠実さを感じるからだ。
こうしたオカルト系の発信は、往々にしてカルト化しやすい。そして発信者は教祖化してしまう傾向が多々ある。それは実はとても危険だ。
私はそうした状況をこれまでにいくつも見てきたし、また私自身占い師なので、同様の危険性を常にかかえていると自戒しながら活動している(つもりだ)。
その点、ナオキマンは信頼できる。今のところ。
なぜ今のところか?人は変化していくので、どう転んでいくかは未知だからだ。
ナオキマンの投稿を見ていると、彼があえてカルト化しないようなメッセージを都度盛り込んでいるのが分かる。
煽っておらず、必要以上に恐怖を与えず、信じ込ませるような誘導もない。ナオキマン自身が常に客観的視点を忘れず、変にのめり込んでいない。バランス感覚が抜群に優れているように思う。あえて言えば、洗脳されたい人には物足りないかもしれない。
新しいタイプのプラトン/ソクラテスと言ったらほめ過ぎか?いや、それがほめ言葉になっているかどうかは分からないが。
本著の「まえがき」と「あとがき」を読むと、ナオキマンの人柄がいかなるものなのかが伝わってくる。バシャールみたいな得体の知れないものとの対談は苦手だという人や、読書の時間が取れないという忙しい御仁には、この「まえがき/あとがき」だけも十分に読む価値はあると思う。
彼は(彼なりの)一本筋の通った揺るぎない心の姿勢、そして大きな知的好奇心を持っているのだなということが分かる。さらに、You Tube配信でも見え隠れしているが、今の地球をとても憂えていて、平和と調和を求め、願っている。
ふと斎藤幸平の様子と重なった。斎藤は経済思想家、大阪市立大学准教授。昨年出版した『人新世の「資本論」』がベストセラー中だ。気候変動や強欲資本主義による人類の危機について論じている「脱成長論」。テレビ出演の際も、大企業の社長・会長あるいは自民党議員から飛ばされる口封じのための侮蔑的マウンティングにも動じない。淡々と自分の考えを述べる。これには、「あ、ちょっと信用できる人が出てきたかな」という印象。これも「今のところ」だが。
思想内容もナオキマンと斎藤幸平には通底するものがある、と私は感じている。
でももし、地球上の全人類が争いを止めて共存できる世界が存在するなら、それはそれでワクワクしませんか?
そしてそんな世界を創るための術があるのなら、そのための行動を起こしてみたいと思いませんか?
そんなぶっ飛んだ理想に「何いってんだ、こいつ」って突っ込まれるかもしれませんが、僕はそんな世界があってもおかしくないと思っています。
(「バシャール×ナオキマンショー」P3)
バシャールは、僕たちが普通に社会のしがらみの中で毎日揉まれながら生きていたら、想像もできないような世界に僕たちを誘(いざな)ってくれるのです。
そして、バシャールが見せてくれる高次元の世界と深淵な知識は、僕たちの意識を拡大させてくれると同時に、意識をシフトさせてくれるのです。
僕は、一人ひとりの小さな意識の改革が集まったときに、まだ見たこともないほどの面白い世界が“今、ここ”で実際に創造され展開するのだと思っています。
そして、それがバシャールの狙いでもあるのかな、なんてことを思っています。
(同上P5)
バシャールの生きているエササニでは、すべてがシンクロニシティの中にあって皆が調和のとれた世界に生きている……なんて、僕たちの生きているこの世界からするとまったく想像がつきません!
だって今、僕の周囲を見渡しても、自分が理想とする生き方ができている人の方が少ないし、どちらかというと苦しみながら日々を生きている人の方が多いような気がするからです。
でも、お互いが尊重し合えるような世界があるのなら、それってステキなことだと思いませんか?
そのためにも、バシャールが教えてくれたように一人ひとりが情熱に従い、自分の生きる目的を理解すればそんな世界は創造できるのかもしれません。
(同上P302)
これは、斎藤幸平が言っている「格差のない誰もが幸せにストレスなく生きるのことのできる社会」だし、さらに言えばスピノザが言うところの「個々人みんながそれぞれのコナトゥス(自分の存在を維持しようする力)に従って自分らしく生きることで、調和の取れた世界となる」という思想と同じじゃないか?
否応なく「本当の自分」とは違うことをさせられているので、私たち地球人は苦しんでいる。「本当の自分ではない自分」を生きなければ(生活費を得るためだけの労働)、衣(医)食住を保つことができずに死んでしまう。コロナ禍によって、人間社会の仕組みのあれこれが視覚化されたので、より実感する。
「僕の周囲を見渡しても、自分が理想とする生き方ができている人の方が少ないし、どちらかというと苦しみながら日々を生きている人の方が多いような気がする」
ナオキマンが言っている通りだ。自分が理想とする生き方ができる社会、世界、地球を望まない人は一般人だったらいないはず。けれども、資本主義社会の権力者、支配者たちは、もっともっと労働者たちから搾取しようとしている。
ゆえに、私たち個々人の意識がシフト、変革していくことが重要だ。
「お互いが尊重し合えるような世界」にしていきたい。私もそう願うばかりです。
付記
ナオキマンが視聴者や読者を煽らないというその一端が、「あとがき」にも垣間見られる。
正直に言うと、僕も今回のバシャールの言っていることを100%信じているわけではありません。
ただし、問題は「真実かどうか」ということでもないのです。
それよりも、バシャールの語る新しい知識や面白い話、(略)そんな部分があればそこに意識を置いて、自分なりの新しい価値観を構築してほしいと思っています。
(同上P304)
ナオキマンの姿勢はYou Tubeでも一貫してこんな感じ。
自分で感じ、自分で考え、自分で判断することを視聴者、読者に促す。そして自分も疑問に思い、考えている最中なのだ、いっしょに考えましょう、と投げかけてくる。
ナオキマンさん、あなたももしかして……