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「アフロえみ子の四季の食卓」〜みそ汁談義〜稲垣えみ子流簡素生活でハッピー

 楽しくて素敵な本です。

 

「アフロえみ子の四季の食卓」

稲垣えみ子著 マガジンハウス

 

 軽快な著者の筆致と著者がつくる日々の質素な食事のカラー写真がページを彩る。

 面白くて、楽しくて、読書はどんどん進む。

 

 それにしても、稲垣えみ子の著述は愉快だ。なめらかにすらすらと読ませる文章はさすが元新聞記者。稲垣の本を読むたびに、いつもそう思う。ラジオやテレビでの語り口調も、やわらかくて好感が持てる。私はすっかりファンである。

 

 稲垣のつくる質素メニューは一汁一菜が基本。

 本人が言うように確かに凝った料理をつくるよりもぜんぜん簡単だが、それでも、準備段階からそれなりにバラエティーに富んでいて、私にはとても真似できない。一度覚えてしまえば、稲垣流も楽ちん炊事なのだろうが、私の場合は、出来合いのものを活用して(お金はかかってしまうが)、一汁一菜系で高齢期を乗り切ろうと思っている。

 稲垣は、贅沢なグルメ派だったこともあって、センスが良い、のは間違いない。そこはもう真似を超えてしまう。

 

 以前にも書いているが、実は私はみそ汁をつくるのがとても億劫だった。ゆえに、いかに炊事を楽にするかと考えたとき、みそ汁をつくるのをやめよう、と思ったのだった。その根底には、老後を自由に楽しもうと思っているのに、いったいいつまでみそ汁をつくり続けないといけないのかな、という思いがあったのだった。ゆえにインスタントにした時期もあったが、十分に満足できずにいた。そして気がつけば、みそ汁を日々つくっていた、という経緯がある。

 稲垣の生活、食卓について書かれた本をいくつか読むと、一汁一菜、すなわちみそ汁の重要度が高いことが分かった。そして、みそ汁づくりは決して面倒なものではない、ということにも合点がいった。

 稲垣流は、碗に乾物と味噌を入れてお湯をかけるだけ、という超シンプル手順のものもある。さすがにこれはなかなか真似しにくいが、いつかぴったりの食材があったら試してみよう、とは思う。

 よく考えてみるとみそ汁は、具だくさんにすればそれは立派なおかずである。そのことに私は気づいていなかったようだ。他にもう一品おかずをこしらえるよりもずっと簡単だ。しかも、稲垣流炊事によると、たくさんのメニューは必要なく、メニューは頻繁に繰り返される。

 私は、みそ汁の具の工夫について考えるのが面倒だったのだ、ということが分かった。いくつかを繰り返していいのだと稲垣流に後押しされて、とても気持ちが楽になった。そして、みそ汁づくりが嫌いではなくなった。

 私の場合いちばん楽なのが、とうふのみそ汁だ。長ネギととうふだけ。すっごく楽。今晩はとうふのみそ汁だ、という日は気が軽い。

 我が家では、きのこをみそ汁でいただく。だいこんやキャベツ、にんじんとともにきのこを入れる。なぜきのこを使うようになったかというと、ヤマザキマリのイタリアの家族が、毎日ようにきのこを食べて健康だ、と本に書いていたのを読んだからだ。

 あとは、肉や魚を焼くだけ。ときどきどんぶりめしも食べるしパスタも週一でメニューに入っている。以前はカレーもメニューに入れていたが、レトルトカレーに具がほとんど入っていない、ということで今はお休みしている。カレーを手作りすることはめっきりなくなった。とても大変だからだ(とくにジャガイモの準備)。スーパーマーケットの惣菜を買ってくる日もあるし、週一でべんとうの日も設けている。

 ごはんはすこし前まで毎日、雑穀米を食べていた。息子のコレステロール値が高くなったという健康診断を受けて雑穀米に変えた。加えて、油ものを極力を減らした。さらに加えて、サントリー伊右衛門を飲んでいたら、息子の体重がどんどん減って、コレステロール値が瀑下がりした。ということで、最近は普通の白米を食べることも多くなった。卵かけご飯もいただく(念のため卵も禁止していた)。

 稲垣家では、玄米を食べているようだが、これもなかなか私には真似しにくい。

 うちでは、あと、生野菜サラダを必ず食べている。これは私自身のコレステロール対策だった。もう10年以上続けている。

 ここに最近加わったのが、納豆。たまに食べていたのをほぼ毎日、取るようにしている。これは、美容師さんから、髪がしっとりしているお客さんに聞くと毎日納豆を食べていると言っていた、という情報を得たからだ。美味しい納豆をみつけたので、実践できている。

 

 アフロえみ子名言ベスト3

 

世知辛い世の中では「他人の得は自分の損」と考えがちですが、そんなこたあない。みんながよくなれば自分もよくなる。そう思えるようになったら人生変わります。

(P55)

 ぬか漬けについて書いている。みんなぬか漬けのぬか床の世話が大変だというけれど、それほど大変ではない、と。ぬか床は「生きている」と考えて、ペットの世話をするように可愛がってあげることができるかどうかだ、と稲垣は言う。そしてそれは、人生にも当てはまる。一人で生きているのではない、みんな助け合って生きているんだ、と力説するコラムのなかの一節。

 

夕食は「味噌汁だけ」で済ませることも少なくありません。

なーんて言うと「えーっ」と思われるかもしれません。(略)

たぶん「味噌汁」と言うからいけないのです。

「今日のメーンは具沢山の野菜スープだよ〜」。そう言われれば「えーっ」と言う人は大幅に減るのではないでしょうか。むしろ、なんだかとってもオシャレな感じ。

(P62)

 確かに確かに。みそ汁をメインデッシュだと思う人は少ない、ほぼいないだろう。でも上にも書いたが、具沢山のみそ汁(スープ)は立派なおかずである。みそ汁づくりが大嫌いだった私も、今では稲垣流だ。

 

 トーストは、愛用の南部鉄器の小型ダッチオーブンで焼くという稲垣。もちろんオーブントースターなどは持っていない。高機能なトースターを買ったとしても、しばらくすれば慣れてきて感動も薄れる。

買った次の日からどんどん新しい「画期的な新製品」が出てきちゃうんだよね。そうなると心はどうしたってそっちに持って行かれる。こうして、せっかく手に入れた満足は案外と早く不満へと転化するのです。

でもね、シンプルな道具だとそういう心配がない。

(P149)

 その通りかな、と思う。私も若い頃、パンを焼くのにフライパンを使っていたことがあったが、オーブントースターはやっぱり便利だと思う。高性能なものは使っていないが、買ってきたボールパークドッグやピザパンなどを温めると美味しくなるし。

 同時にこの文面は、資本主義社会、消費社会の特質をついている。そういう広告に踊らされて、人々は次々と買い物をしてしまう。

 

いやね、何もゴーカなご馳走を作る必要なんてないんです。簡素でOK。いやむしろ、簡素な食事を「おいしい」と思える自分を作ることに成功したら最強です。だって、お金からも時間からも自由になれるんだから。

(P179)

「お金からも時間からも自由になれる」すなわち、現代を生きる私たちは「お金と時間に縛られて生きている」そしていつもいつも「お金がない」「時間がない」と言っている。

 稲垣流をそのまま実行するのはいささか難しいと私自身は思っているが、多少表現方法は違うものの、その精神は通底していると思っている。

 著者にお墨付きをいただいたと勝手に思っているので、自信をもってシンプル食生活を続けていこうと思っています。

アフロツトム ©2023kinirobotti

 

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