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「虎に翼」第4週〜親権を得るために法を学ぶ〜男らしさ、女らしさって?

第4週「屈み女に反り男?」

女は少しうつむき加減にしている姿が良く、男は少し胸を張った反り加減の姿が良いということ。(ことわざ辞典ONLINE.)

 

「虎に翼」NHK朝ドラ2024年前期

脚本/吉田恵里香

出演/伊藤沙莉 石田ゆり子 岡部たかし 仲野太賀 川上周作

   土居志央梨 桜井ユキ 平岩 紙 ハ・ヨンス

            松山ケンイチ 小林 薫 岩田剛典 戸塚純貴 他

語り/尾野真千子

 

「虎に翼」の土曜日BS一挙放送が8:15から。8時にチャンネルを合わせた。

 朝ドラの前に、野球(メジャー)の試合が8時から15分だけ101チャンネルであった。

 なんと、ドジャースブルージェイズ、1回表、2番大谷のホームランを見ることができた。

 8時からテレビ点けてて良かった。ラッキーだった。

 

 わぁ、次週へ続く4周目最後のエピソードが強烈、驚愕で、この週のテーマがかすんでしまった。

 えっと、なんだっけ…。けっこう大事な内容だった。男と女の。

 

 3年間の女子部を卒業して、いよいよ明律大学法学部での勉学がはじまった。男子学生とともに学ぶ。

 昭和8年、弁護士法が改正。女性も弁護士資格を取ることができるようになった。

 どんな地獄が待っているやらと覚悟して登校したが、なんだかみんな優しい…?

 ところが、花岡(岩田剛典)という学生が、ちょっと曲者っぽい。レディーファーストとか言っちゃって、男女平等の世を切り開こうとしてる寅子(伊藤沙莉)たちを開拓者として尊敬しているなどと、くすぐったいことを言う。紳士的な振る舞いに見えるが、別のところでは「女は優しくするとつけあがる。立場を弁えさせないと」などと豪語していた。

 とはいえ、なんとなく平和?に過ぎていく大学生活。男女でハイキングへ行こうということになる。

 

 ある日の講義。穂高教授(小林薫)が腰の具合が良くないといって、代理としてひとりの弁護士を連れて来た。その男の名前は大庭(飯田基祐)。なんと梅子(平岩紙)の夫だった。

(ところで教室を出た穂高が普通にスタスタと歩いていくのは、なんなんだ。仮病を使う理由、何かあるのか?確か、寅子が優三におべんとうを持って来たときもそうだった。廊下に出るとスタスタ歩くから「はて?」と私は思っていた)

 梅子は「スン」としている。

 大葉の講義はなかなか良いのだが、欠点は、講義中もそうだったが、寅子たちとの挨拶の場面でも梅子を揶揄したり、侮辱的なこと言葉を口にするところ。

 加えて、講義中の判例のなかで出てきた女性の顔の傷について、 結婚前の女性にとっては「容姿が何より大事だ」と話す。それに対して、寅子たちは賛同しかねると反論。

 ルッキズムとは少し違うかもしれないが、女性はとくに顔に傷やあざなどがあるとお嫁に行けなくなるとか、よく言うけど、なんと言うかやっぱり蔑視の感覚が入り交じった気持ちのよくない評価の仕方だと思う。それゆえ、寅子たちも反発したのだろう。

 顔の傷とかあざとかについては、無意識に蔑視や差別のようなことを言ってしまう恐れが多々あると思われる。ニキビやそばかす然りだし、なんだったら容姿そのもののことも。無意識の言動がいちばん良くない。それが内面化されているということだからだ。

 顔の造作は様々で、今の地球での美男美女の価値基準というものは厳然としてあることは認めなければならない。私が常日頃思っていることをあえて言わせていただくのだが、男性はかなりの人々がイケメンと言われていませんか?え?と思うような人までイケメンと言われている。イケメンと美男は違うのかもしれないが、私が思うイケメンは、吉沢亮とか神尾楓珠とか…。なにが言いたいかというと、すなわち、やっぱりそこにも男尊女卑が潜んでいやしないか、ということ。こんな言い方したくないけど、男はブ男でも低身長でもなんでも金持ちならOK的なところもあるのかもしれない。あくまでも現時点での地球人の話です。あとは好みの問題だから。

 

 同級生男女で甘味処に入ったおり、梅子の長男が友人たちと入って来る。男子たちは「スン」としてしまう。男性でもスンとするんだ、と思う寅子。実は梅子の息子は帝国大学(今の東大)。寅子たちは明律大学。それ故のスンなのだと、帰宅後、優三(仲野太賀)から教えられて納得する。

 なるほどね。彼らには彼らなりのプライドとコンプレックスがあるんだな。まあ、それは今も昔も同じか。っていうか、このドラマで扱われているテーマは、現代にそのまま当てはまることばかり。昭和、平成、令和とな〜んにも変わっていない。変わったのは医療と科学技術の発展のみか?

 

 ハイキング当日。大庭先生は立派な人だと話している男子たち。妾もいるとか。ハイキングにいっしょに連れて来た梅子の三男(9歳)の前でその話をする男子たち。

 そこでついに花岡も正体を表す。男は外で働いて女を守っている。息抜きするのは当然だ、と言い放つ。もちろん寅子は大反発。二人が言い争っているうちに、花岡は崖から足を滑らせて落ちてしまった。

 病院の待合室で、梅子は寅子たちに自分の事情を告白する。

 長男が生まれたころから、夫は家に帰らなくなった。長男は、夫にそっくりな冷酷な男になってしまった。

 離婚するために法を学ぶことにした。子どもの親権が欲しい。

 今の法律では離婚した女性に親権は付与されないことは分かっているが、それでもやらないといけない、糸口を必ず見つけてみせる、と梅子。

 長男は無理でも、次男と三男は「絶対に夫のような人間にしたくない」。

 どうしてもっと早く言ってくれなかったのかという涼子(桜井ユキ)の問い掛けに、

妻としても母としても何も誇れない、誰からも愛されない。こんないやな女の私をみんなは好きになってくれた。

 と答える梅子。

 これって、いわゆるモラハラだよね。

「妻としても母としても何も誇れない、誰からも愛されない。こんないやな女の私」とは、夫から言い続けられてきた言葉なのだろう。それを長男もずっと聞いていた。大庭は、弁護士としてどれほど立派なのか知らないが、こんな態度でしか自己意識を保てない情けない男だ。

 梅子のような明確な思いを持った女性、母親が、温かい心を持った男性に息子を育てていくことができる。がんばってほしい。

 

 入学式のときから親切にしてくれた梅子さんのおかげで今がある、と言う香淑(ハ・ヨンス)。

 梅子さんは心優しい、とても魅力的ないい女です、と寅子。

 梅子は、女子部法科に入って、寅子たちとのふれあいのなかで、救われたのだろう。そして、家庭では感じることのできない幸せを感じているのだろう。

 

 このあと、いちばん男尊女卑のように見えていた轟(戸塚純貴)が、実は心の柔らかい優しい男だと判明する。

 退院の日、迎えにきていた轟に花岡は猪爪寅子を訴えて痛い目にあわせる、と言う。「虚勢をはってどうする」と注意を促す轟。花岡は、カフェの女給らにちやほやされて浮かれて、わざと女性をぞんざいにあつかったり、無駄に格好をつけたりしてきた。

 そして轟は言う。

花岡、俺はな、自分でも信じられないが、あの人たちのことが好きになってしまった。あの人たちは男だ。俺が男の美徳だと思っていた強さ、優しさをあの人たちは持っている。俺が男らしさと思っていたものは、そもそも男とは無縁のものだったのかもしれんな。

つまり俺が言いたいのは、上京してからのお前、日に日に男っぷりが下がっていくばかりだ。おれは非常に悲しい。

 轟は、待合室での寅子たちの会話を影で聞いていたのだ。

 強さとか優しさとかいうものは、そもそも男も女もない。人間として、だろう。

「有害な男らしさ」という言葉が、いっとき出回っていたが、すなわち「男らしさ」という得体の知れない観念、価値観に引っ張られて、男性が女性蔑視をしたり、暴力を振るったり、犯罪を犯してしまう、という話だ。

「男らしさ」が「そもそも男とは無縁のもの」だったのかもしれない、というフレーズは、どういう意味なんだろう。つまり、家父長的という意味か?強くて威張っている傲慢な男、権威主義的、封建的、男尊女卑的という「男らしさ」というのは「男」とは無縁だ、ということか。

 いずれにせよ、「男らしさ」を履き違えることが「有害」の元になっていくのだと思われる。

 学園祭での法廷劇騒動のとき(第3週)、学長が言った「女らしく」も同様だ。

「女らしさ」って何だ?「男らしさ」って何だ?そもそも「らしさ」って何?

 私たちは、そんな「らしさ」というレッテルに束縛されているのではないか。

(ちなみに、「らしさ」にはポジティブな意味合いもあることを付け加えておく。詳しくは別の記事で確認してください→※)

 

 さて花岡は、失礼な言動だったと梅子に謝り、寅子とも仲直りする。

 ちなみに、花岡は早くに母親を亡くしているそうだが、一連の女性蔑視的態度は、その裏返しだったのかもしれない。母の愛を十分に得ることができなかったゆえの。梅子に大学生の息子がいるわけなので、花岡にとっては母親のような年代の女性である梅子。その梅子の母性によって花岡はすこし救われたのだろう。花岡の涙はその涙だ、と私は解釈している。

 

 ここまでは良かったのだが、な、なんと、このあと、梅子の父・直言(岡部たかし)が逮捕されてしまう。令状を持った検察官が猪爪家にやって来て、家宅捜索をする。

 銀行、企業、政治家に及ぶ大汚職事件。

 弁護士を探している寅子たち。

 

 直言については、伏線が張られてはいたが…。

 酔っ払って帰ってきた直言が、「土産だ」と言って寅子に手渡した包。あれって、事件に関係する何かが入っていたりするのではないか、と勘ぐっている。だって、あのシーンで寅子は包を開いていないから、何が入っていたのかも分からないし。無意味なシーンとも思えない……。

「虎に翼」 ©2024kinirobotti

 

→(※)

risakoyu.hatenablog.com