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「MIU404」〜面白い!〜やっとドラマが始まった〜

今までにないタイプのなかなか面白いドラマだ。

 

COVID19感染拡大のなかでやっとドラマが始まった。

結局春ドラマが夏ドラマになった、ということか。

 

「MIU404」TBS金曜夜10時

脚本/野木亜希子

出演/綾野剛 星野源 他

 

野木亜希子オリジナル脚本。

取材や資料、このドラマを書くまでの準備は膨大だったのではないか、と想像する。各話に、ギュッと多くの要素が詰まっている。「アンナチュラル」もかなりの勉強量だったのではないかと思うが、こちらもそれに劣らないように私には見える。

 

テンポが速く、これまでの日本の犯罪刑事ドラマのじれったさがないところがまた良い。余分なシーンがほとんどない。

日本のテレビ番組の劣化がつぶやかれて久しいが、ドラマもその例外ではなかった。ゆえに犯罪刑事ドラマ、日本でもこんな風に表現できるんだな、と大変感心している。

 

アメリカのTVドラマ「クリミナル・マインド」の要素も入っていて、第2話など、むしろ「クリミナル・マインド」よりも出来が良いようにさえ感じる。

このドラマ、ハリウッドに持っていけるのではないか?

 

「MIU404」は「ミュウヨンマルヨン」と読む。

“MIU”とはMobile Investigative Unit(機動捜査隊)の頭文字であり、“404”は綾野と星野が演じる機動捜査隊員の二人を指すコールサインだ。

(TBS番組サイトより)

ちなみに「404」とは「存在しないページを知らせるエラーコード」。伊吹藍(綾野剛)と志摩一未(星野源)のキャラクターを象徴している。

 

警視庁芝浦分駐所の第4機動捜査隊。伊吹と志摩は404号車に乗ってパトロール

事件勃発から24時間内でできうる限りの対処をして犯人逮捕に結び付けていく。

 

先程ちょっと触れた第2話では、ゲストに松下洸平を迎え、「クリミナル・マインド」ばりの秀作だった。

そして私は、ストーリー展開とセリフの数々にすっかり騙された。え〜やっぱりそっちだったのか、と。

「クリミナル・マインド」には、犯行に至るまでの犯人の過酷な運命や出来事に思わず涙してしまうエピソードがけっこうある。特に前期の作品。

「MIU404第2話」は、まさにそれだった。

加々見崇(松下)は、いわゆる毒親である父親からの仕打ちでトラウマを抱えていた。それゆえの殺人だった。そのあと、自分の人生をむちゃくちゃにした自分の父親を殺しに行く。そのために乗っ取った車を運転する夫婦は、息子を失っていた。次第に崇に同情していく夫婦。

それを追い詰めていく404号車。

緊迫感と謎解きの妙。

そして、加々見を実家で追い詰める伊吹と志摩。

父親はすでに死亡しており、復讐を果たすことはできなかった。謝罪させたかったと言う加々見。死んでしまっていてはそれも叶わない悔しさ。文句を言うことも、問いただすこともできない。

ラストシーンは良かった。乗っ取った車の持ち主で人質になっていた夫婦が、崇に優しい声を掛ける。そして夫(鶴見辰吾)が、守ってやれなくて「ごめんな」と逮捕された崇の背中に向かって叫ぶ。「ごめんな」「ごめんな」と。

謝ってもらった。

全くの他人で、しかも自分が人質に取った夫婦だが、なんと、父親にしてほしかったことをこの人たちがしてくれた。巡り巡って。

振り向いて頭を下げる加々見。

彼は癒やされただろうか……。

 

松下洸平が、父親への募りに募った恨みをぶつけるシーンは鬼気迫るものがあった。新境地かな。「スカーレット」の八郎とも「捜査会議はリビングで」の優しくて気の弱い街のお巡りさんとも全く違う。次はどんな役をやってくれるか、楽しみだ。

 

良質のドラマというのは、役者も引き立ててくれる。あるいは育ててくれるということもあるかもしれない。もちろん的確な配役ということもあるのだろうが。

コウノドリ」以来の共演だという綾野剛星野源

綾野剛については、私は、この役どころは最適だったのではないか、と思っている。これまで綾野が演じる様々なドラマや映画を観てきたが(数は限られているが)、この伊吹の役で私のなかの彼への評価はかなり上がった。

単純に言えば、ひじょぉ〜〜〜にいい(「同期のサクラ」風に)。

星野は、シリアスからコメディードラマ、さらに「お源さんといっしょ」から「うちで踊ろう」そして「エッセイ本」まで、多彩で多才な彼はすでに有名なので、とくに驚くことはない。

星野も綾野も、「コウノドリ」よりexcellent!だ。

 

難を言えば、ファンの方々には申し訳ないのだが、隊長役の麻生久美子がはたして適役だったのかな、というのはある。

ただし、第3話での女性蔑視的場面での社会性あふれる発信はよかった。野木亜希子の思いだろう。こうした発信をちょいちょい入れてくれることで、古い価値観を変容させる雰囲気を広めることにドラマは貢献してくれるのだろうと思う。

にしてもこの、いや、だからこそこの隊長役、誰か他にいなかったのかな、と残念に思っている。他が良すぎるからそう感じてしまうのかもしれない。

もうひとつ難を言わせていただくと、隊長は女性だが紅一点となっている。女性を増やしたり、黒人白人アジア系ハーフだったりLGBT的な人たちを自然に積極的に別働隊などに入れていくといいのに、とも思った。

 

かなり良い出来のドラマだと思う。

最終話まで突っ走ってほしい。

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