ねことんぼプロムナード

新しいルネサンスの小径

2019年夏ドラマ あれ?今季は観てる~「観察医 朝顔」「Heaven ご苦楽レストラン」「凪のお暇」「べしゃり暮らし」「そして、生きる」「あなたの番です」~

日本のドラマは終わった、くらいに思い、そのように発信してきた。そして、前季はほとんどまったく観ていなかった日本のTVドラマ。もっぱら海外ドラマの日々だった。

今もそれは変わらないが、

すでにアメリカでは放送終了となっている「クリミナル・マインド」も、シーズン11を過ぎたあたりから面白さが半減。まず、この11でモーガン捜査官(シェマー・ムーア)がいなくなる。そしてSWATの主役へと転身。シーズン12の2話でBAUのリーダーだったホッチナーがいなくなる。これは大きかったと私は思っている。ホッチナー役のトーマス・ギブソンはその風貌も演技も、本物のFBI、しかもFBI長官にさえ見える。実際の記者会見に登場しても違和感のないくらいのはまり役だった。この二人のあとを埋める役者は当然ながら出てこなかったと言ってよい。私は、このドラマのピークはシーズン8、9かな、と思っている。特に8は、興味深いエピソードがたくさんある。ドラマにも旬はある。そして、そこにいるべき人物がいなくなると、波動がガラッと変わってしまって、そのドラマの魅力は確実に失われていき、衰退していく。ホッチナーは特にそういう存在だったと私は感じている。制作サイドへの不満、プロデューサーへの暴行を機に降ろされた。それが13の2話を撮影中での出来事で、3話からはもういない。暴行は許されることではないが、それでも制作サイドは、ホッチナーの存在感を十二分に把握していたであろうに……残念すぎる。長くやっていると、いろいろあるんだろうな。日本では「相棒」がすでにシーズン17まで続いた。今年秋からは18か。私としては昔の「相棒」には優れた脚本が多かったように思っている。脚本家のせいなのか、制作サイドの勢い減退なのか。正直なところ、最近のものは面白くない。

 

という海外ドラマのマンネリもあって…なのか、日本のドラマに目が向いた今季。

もちろん、楽しみに視聴しているものもある。「グッド・ドクター」「THis Is Us」「BULL」などなど。 

さて、あれだけぼろくそ言っていた日本のTVドラマ。その批判的批評は相変わらずではあるが、気づいたらけっこう観ている夏ドラマは、

「観察医 朝顔」「Heaven ご苦楽レストラン」「凪のお暇」「べしゃり暮らし」「そして、生きる」「あなたの番です」。

録画していて未視聴だが観る予定にしているものは、

「これは経費で落ちません」「ベビーシッター・ギン!」。

 

「あなたの番です」(日本テレビ日曜夜10時半)

これは春ドラマから観ている。2シーズンもの。なぜ観ているかというと、原田知世のファンだから。しかし、7月からの後半では死んでしまっているのでほとんど出演シーンがない。それでも観ているのは、犯人が誰かを知りたいから。どうということはないドラマだが、まあ、犯人探しとしては面白い。それだけ。

 

「Heaven ご苦楽レストラン」(TBS火曜夜10時)

これも、大した深みのないコメディドラマ。1話を観てつまらなかったら2話からは観ないを心掛けている私だが、なぜかずっと観ている。このバカバカしさが、なんとなくはまる。よくあるレストラン再建ものでもなければ、人情ドラマでもない。ただただナンセンス。なんで観てるんだろう。そう、キャラクターがいい。

特に、志尊淳が演じる元美容師の川合太一。ひとことで言うと癒しキャラ。私としては、そのような月並みで手垢のついた定義はしたくない。レストランのコミドラン(ギャルソン)としても美容師としても不器用で不向きな性質なのだが、いつもめっぽう明るい笑顔。さらに彼の指導に当たるシェフドラン伊賀観。福士蒼汰が演じている。伊賀は、真面目で仕事が良くできるタイプ。一方で笑顔をつくることができない。

二人とも、良い役をもらったのではないか、と思う。志尊は、朝ドラ「半分青い」のボクテ役も大変良かった。今回それに拍車がかかった感じがする。福士については、これまで「よい」と思ったことのない俳優だったのだが、このドラマでの伊賀くん役が新境地ではなかろうか、と思ってしまうほど(ほとんど彼については知らないのだが)。いくつか見たことのある過去の役、演技と較べても、別人のように見える。

主演のレストランオーナーで推理作家役の石原さとみ、ソムリエの岸部一徳、店長の勝村政信、シェフの段田安則らもそれぞれナイスな配役だ。

ひとりひとりのキャラに個性があると同時に、それらが競って打ち消し合うこともない。ゆえに観ていて「嫌な感じ」がしないのだろう。石原さとみの定番となりつつあるコミカル演技も濃すぎておらず良い。

川合は、素直で正直すぎて失敗が多い…などの性質から、いわゆる広い意味での発達障害のなかのどこかに入るのかもしれない、などと勝手に推測している。こんないい人ばかりなら、世の中平和だろうな、と思う。

 

「凪のお暇」(TBS金曜夜10時)

恋愛はいってるし、ちょっと苦手ではあるが、なにしろ黒木華ファンなので観ている。

1話目を見たとき、私は映画「めがね(監督/荻上直子)」を思い出した。ドラマ評論家の梅田恵子は「すいか(日本テレビ 脚本/木皿泉)」を思い出したと言っていた。「すいか」「めがね」小林聡美主演の、同質の雰囲気漂う物語だ。しかもどちらにも出演している市川実日子が「凪のお暇」に出ている。疲れた世間から逃れて行った先の人々との交流から何かが始まる。凪の恋と人生、母娘関係、出会った人々から何を学び、何をどう解決していくのか。中村倫也演じる安良城ゴンと高橋一生演じる我聞慎二との関係はどう進むのか。

慎二は弱虫サイコパス男、ゴンは人たらしサイコパス男、と私は見ている。今のところ、凪には強気の慎二も、ゴンには肩透かしをくらっている。この二人の男がどうなるのかを見届けてから、最終話のあとまた感想を書くかもしれない。

いずれにせよ、ハラスメント的要素が脅迫的に視聴者の心に嫌悪感を呼び起こすことのない、新しい感覚をちょっと感じる。

 

「監察医 朝顔」(フジテレビ月曜夜9時)

監察医ものは、もうひとつ「サイン」というドラマがテレ朝の木曜日にあるが、こちらは1話の視聴でやめた。既視感があったので記憶を辿ったところ、「ヒポクラテスの誓い」というWOWOWのドラマと出だしがそっくりだった。演技、演出ともに見続けるのが不可能だった。

朝顔」は、なんだかいい。遺体に「教えてください。お願いします」と問い掛けてから解剖を始めるので、もしかしてちょっと霊能力はいってるやつ?と警戒したが、まったくそうではなかった。

ファミリードラマと刑事ドラマ、そしてヒューマンドラマがバランスよく合体した贅沢で奥深いドラマだ。だからといって盛り過ぎていない。ゆえに一話一話が腹八分目でちょうど良いあんばいだ。日本のドラマに特有のネチネチ感もない。2011年3月11日に津波で母を亡くしている朝顔。まだ遺体が見つかっていない。父親(刑事)はいまだ探し続けている。朝顔はまだ乗り越えられていない。そんな重いテーマを抱えていながらも、さっぱりあっさりとした物語だ。

朝顔を演じる上野樹里が適役なのだろうな。

 

「そして、生きる」(WOWOW月曜夜10時他)

「監察医 朝顔」が東日本大震災を扱っているが、「そして、生きる」でも物語に組み込まれている。

こちらは、朝ドラ「ひよっこ」の脚本家と主演女優が再びタッグを組む。岡田惠和有村架純

全5話作品。まだ1話しか観ていない。とても繊細なドラマのようだ。ひとりひとりの背負っている人生とそして、夢。

 

べしゃり暮らし」(テレビ朝日土曜夜11時15分)

深夜ドラマ。演出が劇団ひとり

お笑いの悲喜こもごもと芸人の才能、そんなところが描かれているのかな、と1、2話を観て思った。ちょうど村本大輔のニューヨークでの奮闘ぶりをエッセイで読んで、なんとなく様子が重なった。舞台も背景もまったく別物なのだが。その真髄を感じることができたのかもしれない。

キャスティングがいい。

間宮祥太朗 渡辺大知 小芝風花 徳永えり 矢本悠馬 駿河太郎 浅香航大 前田航基 他。朝ドラ出演者が多い?

小芝風花は、「あさが来た」で共演した吉岡里帆の影に隠れしまったか?と2年ほど前は思っていたが、このところ「トクサツガガガ」など話題のドラマでの活躍が目立ってきた。彼女は朗読も大変上手だ(「100分de名著」で聞きました)。

 

続けて視聴している、視聴しようと思っているドラマは以上です。 

全体的に(私が視聴しているものに限るが)、競い合って、脚を引っ張り合って、出し抜き合って、そして誰かが成功して、誰かが悲しんでいる、という日本ドラマの定番ともいえるパターンとは違う世界観が描かれている今季として私は捉えている。

あ、ひとついいですか?コラボ歌手の歌をドラマの最後に流すのはやめてほしい、と切に願う。ドラマが台無しになるのである。