「刑務所」について考えるとき「刑罰」に思いを致さないわけにはいきません。
「刑罰」は、つまり罪を犯した人間に罰を与えて懲らしめる、ということです。
「刑罰」犯罪を犯した者に対して与えられる法律上の制裁。
(明鏡国語辞典)
その罰を与えられている人を収容しておく施設が「刑務所」。
「刑務所」懲役・禁固など、自由刑に処せられた者を収容する施設。
(明鏡国語辞典)
このツィートに驚きました。
ヤギの人(ゐうさい)@yusai00
オランダの刑務所事情。受刑者不足で閉鎖が相次ぎ、ホテルやアパートへの改装が進む。 懲役ではなく更生を重視した結果、犯罪率は10年で大幅に低下し受刑者は半分に。依存症には治療を、暴力行為には怒りの管理を伝え、お金に困っていればお金に関するカウンセリングを行う。
なぜ驚いたのか言いますと、つい先日NHKで「刑務所」についてのドキュメンタリー番組を観たあとだったからです。
BS世界のドキュメンタリー「アメリカ“刑務所産業”」
「軍産複合体」という仕組みが、日本でもようやく認識し始めたここ数年。
「軍産複合体」軍需産業を中心とした私企業と軍隊、および政府機関が形成する政治的・経済的・軍事的な勢力の連合体を指す概念である。(Wikipedia)
端的に言うと、武器、戦争で儲ける商売、ということです。そして、そもそもそういう仕組みのもとで世界は動いているらしい。つまり、戦争がなくなると商売が成り立たない、儲けられないじゃん、とういこと。大企業から下請の下請けまで。
アメリカはなんとも恐ろしい社会の仕組み、金儲けの仕掛けをつくりだしたものだな、と呆れかえったうえに、もう抜け出せないのか地球、と落胆、諦念、絶望を感じながらも、きっとどこかで逆転できるときが来るという確実に時間のかかるであろう希望をもちつつ生きている日々ですよ。
ところが、戦争よりももっと身近な「刑務所」が金儲けの手段になっていることを知って、愕然としました。
繰り返し逮捕されて投獄される人々。そのほとんどは有色人種です。
アフリカ系アメリカ人として、アカデミー賞で初めて監督賞を受賞したロジャー・ロス・ウイリアムズが手がける。刑期を繰り返した親友の死をきっかけに取材を始めた彼は、黒人を標的にする警察と差別的な判断を下す司法が“刑務所産業”を支えていると指摘。企業が群がる市場規模は9兆円に達し、“受刑者数を多く・刑期を長くする”傾向を生んでいるという。
世界の公共放送が参加する「Why Slavery?」シリーズの5本目
(NHK「もっとドキュメンタリー」より)
軍需産業が戦争がなくなってしまうと困るのと同様、受刑者が減ると刑務所産業は疲弊します。例えば、刑務所に納入している飲食企業とか。
「一度甘い汁を吸ってしまうと手放すことができない」そうナレーションは語っていました。
そして私は、上記の「オランダ刑務所」についてのツィートと記事を目にして、このドキュメンタリー番組のことを思い出したのです。え、受刑者不足?これってアメリカだったら大変だよね、と。
犯罪者を大量生産するアメリカと、適切な対処で犯罪者を減らしているオランダ。どちらが健全でどちらが不健全かは、道徳や倫理、人間の幸福ということを考えれば自明の理です。
いや、そのはずですが、道徳や倫理が破壊されつつある昨今からすると、金儲け第一、ということになるのでしょうか。
受刑者、刑務所が減れば失業者が出るよ、ということでしょうか。
?????
私は、オランダの刑務所事情のほうが人間として立派だと思います。
アメリカは日本よりもカウンセリングや更生プログラムが進んでいるという話をよく聞いていましたが、その一方で刑務所産業などと言われてしまう状況があったとは……。
風が吹けば桶屋が儲かる式、ということか…
日本の場合は、今のところ理不尽に投獄者を増やすということはしていませんが、問題点もあります。更生プログラムよりも罰のほうに重きを置いているように見えるところです。
人は罰だけ与えても更生しません。更生とは逆の気持ちを募らせてしまう人もいます。
様々な意味で、アメリカは見倣わないほうがよさそうです。
警察官や刑務官や消防士や医師が「ヒマ」である社会、というのが本当は人々が幸せに暮らしている社会なのだと思います。