ねことんぼプロムナード

新しいルネサンスの小径

とうとうついに日本のTVドラマがまずほとんど楽しめなくなったということについて「2019年冬ドラマ」①

ヤバイ。ヤバイのである。

あれほど好きだったTVドラマを「観れない」「楽しめない」。

ドラマの記事もこちら(はてな)へ書こうと意気込んでいたところ、徐々に日本のTVドラマにあまりワクワクしなくなってきていたその気持ちが、ついにほぼ頂点に達したと言ってもよい状態になっている2019年最初のドラマシーズン。

つまらない。

何が?ドラマ?楽しめない自分?

 

2019年2月7日木曜日、20時から22時まで、3本続けてドラマを観た。

「刑事ゼロ(テレビ朝日)」

ハケン占い師アタル(テレビ朝日)」

「スキャンダル専門弁護士 QUEEN(フジテレビ)」

 

「刑事ゼロ」。ふと、自分の感覚がおかしくなってしまったのか?とも思ってみた。というのも前日の「相棒」もそうだったからだ。

両ドラマとも最終的な犯人への説教めいたセリフが主役刑事からあったのだが、…これってどちらかというと正当防衛的なアクシデントじゃない?と。どちらも先に殺そうとしたのは、もみあいの末に被害者となってしまった相手の方だった。私、見間違えた?そんなことない…はずだ。ストーリー的には確かに、加害者となってしまった方にもそれなりの積もり積もった思いなるものはあった。けれども、刑事の説教的指摘は、「そこ」なのか?と反応してしまうけっこうな違和感だった。ひょっとしたらいわゆる「正義」の観念が変化していて、私がそれについていけていない…?奇妙な世界に紛れ込んでしまったような…。

「刑事ゼロ」は。過去の記憶を失って別人のようになっている刑事という主人公の設定はなかなか面白いと思うが、その他周辺のキャラがまったくいただけない。「クリミナル・マインド」「NCIS」などと較べてしまうと、ゆるすぎるし、どうしてそんなキャラ立ち表現なのか、よく分からない。浮いて目立つ。これも私の感覚がおかしいのだろうか。日本ではおかしい、ということなのかも…。

 

今冬ドラマの犯罪捜査ものは他に「メゾン・ド・ポリス(TBS)」「盗まれた顔~ミアタリ捜査班~(WOWOW)」「記憶捜査(テレビ東京)」などがある。

「記憶捜査」は1話目を少し観て以後、全く視聴していない。

「ミアタリ捜査班」WOWOWなので期待したが、内容的に少し期待外れだった。昨年の夏に「自分の顔が好きですか?(岩波ジュニア新書)」を読んだとき、「ミアタリ捜査官」という刑事の存在を知り興味を持っていた。このドラマの告知を見たとき、「あ、あの本のあれだ」と、楽しみだった。「ミアタリ捜査官」とは「自分の顔が好きですか?」というタイトルから分かる通り、逃げている犯人の「顔」を覚えていて、雑踏のなかから捜し出すことのできる刑事だ。ものすごくたくさんの顔を覚えていて、本当にすごい人たち。このドラマはすでに終了しているが、実はまだ最終話まで見ていない。録画しているのでこれから観よう、とは思っている。

「メゾン・ド・ポリス」は、面白そう!きっと面白いだろう!と思って続けて観ているが、それほどでもないか…という感じがしてきた。珍しい出演者は野口五郎。もしかすると、シットコム的要素を取り入れているのかもしれないが、そのタイプは日本では必ず失敗に終わる。いや、好きなんですよ私、シチュエーション・コメディ。なので、本当は頑張っていただきたいところなのですが……。

 

弁護士ものは「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」「グッドワイフ」「イノセンス免罪弁護士」がある。

毎シーズン弁護士ものはある。ひとつ前のシーズン2018年秋ドラマでも「スーツ」があった。

「グッド・ワイフ」「スーツ」アメリカドラマのリメイク。「スーツ」は日本版のほうが面白いかな、と思ったが結局最後まで観続けることができなかった。「グッド・ワイフ」はアメリカ版のほうが断然(は言い過ぎかもしれないが)面白い。日本はもしかしたらまだ知的な女性の描き方が上手ではないのかもしれない。

犯罪捜査ドラマも弁護士ドラマも、社会的背景が違うので、日米を単純に比較することはできない。が、それでも、

「コールド・ケース」の日本版は大変巧みにリメイクされていた。アメリカ版も面白いが、私はむしろ日本版のほうがより好きである。配役も良い。シーズン3はあるのかな?楽しみにしているのだが、吉田羊が恩人であるマネージャーとの不仲?で英国へ行くとかなんとかの週刊誌記事があって、ちょっと心配している。

「グッドワイフ」は少し変化球台本のように今のところ見えるが、「コールド・ケース」はほぼほぼそのまま。さすがに日本には置き換える手段がないだろうなと思われるエピソードも、例えば帰還兵の話は自衛隊に、ユダヤ強制収容所の話はシベリア抑留に置き換えられて巧みなストーリーになっていた。とても評価できると思う。

余談になるが、日本のドラマは実際の社会的出来事をドラマの端々で表現しない。アメリカドラマでは大統領の名前もイラクアフガニスタンもロシアも北朝鮮も日本のサリンもサカキバラセイトも出てくる。

「コールド・ケース」、私はアメリカ版をまだ全部観ていないので視聴中だが、私の家族は、アメリカ版は分かりずらいと言ってあまり好んでいない。

日本版「コールド・ケース」のさらに何が良いかというと、対話とシチュエーションが知的なユーモアになっていることに日本としては珍しく成功しているところかもしれない、と思う。ちょうどいい具合だ。過剰だと文化的に違和感があるので。そしてアメリカ版の「論理的爽快さ」が なんとかかんとか踏襲されている、と感じる。

このツィートは的を射ている。

小野寺系@kmovie
日本は経済力が衰えて貧困層が増えてきてて、民族・性差別はひどく、カルトが蔓延してて、人権感覚が希薄で個人主義が確立できてないっていう事実に向き合った作品が必要だし、そういう作品が増えてくれば「日本も進歩的になってきた」って思えるんだよね。‏
韓国の映画を観てると、自国のダメなところや遅れてるところをアメリカ映画並みに、ときにはより病的な領域まで描いてくれるものが多いから楽しいし、テーマに社会的な力が宿るんだけど、日本でそれをやると『万引き家族』がやられたみたいに、一部でバッシングを受けてしまうというのが情けない。

前にも書いたが、勝ち負けではないけれど、韓国にドラマや映画の世界では完璧に負けている、と私は思っている。もしかしたら政治も。なにしろ韓国は女性大統領を誕生っせたし、市民の声で政治家を逮捕させることもできる。日本人が自分自身と向き合いたくないのは、単なるDNAなのか、それとも何か特別な理由があるのか。権威主義は民族性なのか、支配者に教育された結果なのか。

韓国では、映画によって未解決の事件が解決にいたったという例もあるらしい。

シンクロなニュースがあった。

俳優の斎藤工が、主演映画「麻雀放浪記2020」が公開危機に陥っていることを明かした。国会議員に試写を行った際、東京五輪が中止となる映画の設定にクレームが入ったという。(Yahoo!ニュース2019年2月12日)

内田樹@levinassien
ハリウッド映画には大統領やCIA長官や上院議員が犯人という映画掃いて捨てるほどありますよ。『目撃』とか『No way out』とか『大統領の陰謀』とか。日本ではこういうの作れなさそうですね。

 

 「スキャンダル専門弁護士 QUEENは、映像がきれいだ。人によっては逆に見づらく感じるかもしれないが、私も素人だが、たぶんきれいだ。そしてどちらかというと面白い。女性が主人公というところも期待は大きい。ただ、これは「キャンダル」を扱うので、弁護士たちが守るのは有名人。スキャンダルを上手に誤魔化したり、相手や世間を出し抜いたりする方法を考え、提案して収束させていく話。ゆえに、正義とかなんとかがあるわけではない。相談者をなんとしても切り抜けさせる。そしてそのなかにヒューマニティも覗かせる。

 イノセンス免罪弁護士」は、第1話を観て以後視聴していない。出だしが古すぎる。主人公の性質や背景も食傷気味な設定。さらに免罪ものが近頃本当に多い。司法系ドラマとしてはそちらのほうがドラマになるわけで、当たり前と言えば当たり前だが。有名なところでは「99.9刑事専門弁護士」。まるで刑事のように大活躍する弁護士たち。警察の誤認逮捕なので致し方ないが。私は市川美日子と趣里のファンなので観たい気持ちはやまやまなのだが、観るのが苦痛であきらめた。

もう10年以上も前になるが、マチベンNHK)」という弁護士ドラマがあった。これは秀逸なドラマだったと思う。脚本は井上由美子。各話のタイトルからの話の重厚さが見え隠れする。<第1話「法廷は涙にめざめる 」第2話「 依頼人を裏切れますか? 」第3話 「死刑囚を救えますか? 」第4話 「 安楽死を認めますか? 」第5話 「 無実を信じますか?」第6話 「 真実がこわいですか?」>。引退した江角マキコ、テレビからは消えてしまったオセロの中島知子、最近コンサートドタキャンで話題になった沢田研二が弁護士役で出演していた。3人共大変すばらしい役者だと、私はそのとき思った。第4話「安楽死を認めますか?」ではゲストに岸部一徳が出演。沢田と役者として共演している。GSザ・タイガースのファンだった人たちには嬉しいエピソードだったのでは?しかもこの回は「平成18年度文化庁芸術祭のテレビ部門テレビドラマの部で芸術祭優秀賞を受賞」しているそうだ。

 

「相棒」も、神戸くん時代までは良い脚本が多かった。カイトくん時代もまだかろうじて良い作品はあった。つまり、「ああ、そういうことかぁ」と心の底から感じ入ったり、ときに恐れたり、そしてときに愉快だったり。考えさせる要素が散りばめられていた。傑作として語り継がれてもいいような作品もたくさんあった。

日本もなかなかだな、と思っていたが、アメリカドラマを観はじめたところ、日本のテレビドラマはここ数年でレベルが落ちていると私はどうしても感じてしまっている。

「相棒」と「クリミナル・マインド」の歴史がほぼ同じだと考えると、私が気づかなかっただけなのか。いや、「クリミナル・マインド」のなかの傑作エピソードに見劣りしない「相棒」の傑作エピソードが確かにあった。

 

余談になるが、

 「クリミナル・マインド」もシーズン12、13となってくると、けっこう劣化しているように私は感じている。メンバーの交代も大きい。先日シーズン10までのすばらしいメンバーのエピソードを観たら、とっても懐かしく、やっぱりこのメンバーだね、と思ってしまった。

シーズン7くらいで終了する人気ドラマも多いようだが、それを過ぎるとさまざまあるのかもしれない。「NCIS」もすでにシーズン15だが、アビーが主役のギブスとの不仲で降板した(という海外情報)そうで、アビーのいない「NCIS」は魅力が半減するのと、え~そんなことがあったのかぁ、と思うとこれまでの作品もいささか痛々しい感じを受けてしまう。

出演者も年を取るし、15,16…と続けるのはなかなか難しいのでは?とはいえ、日本では、なんと科捜研の女が20年目だそうで、4月から1年間放送されることに。沢口靖子おそるべし。先日電車のなかで、若い女性の二人組が「科捜研の女」面白いよね、と会話している場面に遭遇。そうなんだ……実は私、「科捜研の女」を一度も観たことがありません。悪しからず。

 

つづく

②では、そんななかでも気に入っているドラマをあげておきます。