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「水曜どうでしょう」〜ヨーロッパ21カ国完全制覇〜大泉洋の天才性

水曜どうでしょうにハマった。

 

 TOKYO MXで放送していたのをたまたま、本当にたまたま観て面白くて、続きが見たくなった。毎週やってるのかなとテレビの番組表を辿ると、やってた!でも忘れそうだなぁ、どこかで配信してないのかな、と探ってみると、あった!Netflixに。

 たくさん配信されてる。よし!と視聴することにした。

 

 私がたまたま観て面白かったのが、「ヨーロッパ21カ国完全制覇」という企画。

 ヨーロッパ好きの私には、とても興味深い内容だった。TOKYO MXで観たときには、ちょうどドイツに入ったところだった。そこから始まったのかと思っていたら、それはすでにもう旅の途中だった。

 旅は北海道テレビ(HKT)の玄関前からはじまる(どの旅もここからスタート)。

 そして飛行機でパリへ。あとで分かるのだが、ヨーロッパの旅はすべてパリから出発する。そこからレンタカーでヨーロッパを巡るという企画。

 フランス、イギリス、ベルギー、オランダ、ドイツ、ルクセンブルクオーストリアリヒテンシュタイン、スイス、イタリア、モナコ、スペイン、アンドラ

 1997年の旅では実質8日間で13カ国制覇、に終わった。

 

 外国でよくガンガン車の運転できるなぁ、という感心がまずひとつ。

 高速道路の様子や道路事情が何気に分かって面白かったのだが、もうすこし景色をちゃんと観せてほしいのと、ホテルや食事についての情報がほしい。なにせ、そのあたりの映像はほんの少ししか流さない。

 何話か見続けてようやく分かったのだが、メインは彼ら(大泉・鈴井・ディレクター・カメラマン)の会話、のようだ。どれだけ面白いことを喋るか。プラス大泉のモノマネ。ときどきコントも出てくる。

 そんなことやってる暇あったら早く移動したほうがいいんじゃない?と思うようなシーンもあるが、そこはディレクターの采配なんだろうな。

 いろいろ観て、これもようやく分かったのだが、行き当たりばったりの旅のように見えるが、ディレクターはけっこう綿密にシナリオを練っているようだ(おそらく)。そう考えると、言ってみればハチャメチャな旅なのだけれど、このディレクターはなかなかの手練れなのだろうと私は認識している。視聴者はまんまとはめられてしまう。もちろんプランAプランB…と準備はあるのだろうが、ほぼほぼこのディレクターの手の内、のように感じた。

 

 Netflixでは他にもいろいろ見ることができる。ので、観た。

 ヨーロッパの旅は13カ国で終わったのかと思ったら、続きがあった。

 1999年「ヨーロッパ・リベンジ」。ここでは北欧を巡る。北欧の旅なのにわざわざパリから車を走らせ、フランス、ドイツを経由して、デンマークスウェーデン、ノルウエー、フィンランドの4カ国を巡る。

 これで、17カ国制覇。

 次に、2007年「ヨーロッパ20カ国完全制覇 完結編」。21カ国を20カ国に変更。

 この旅はローマからはじまった。よかったパリからじゃなくて。パリからローマまではずいぶん遠い。バチカン市国サンマリノ、(フランス、スペインを経由して)ポルトガルの3カ国。

 この度は多少余裕があったのか、イタリアとスペインで観光したりしている。

 これで、21−1=20カ国制覇。その1カ国はアイルランド

 そして、2020年「21年目のヨーロッパ21カ国完全制覇」(撮影は2018年のようだ。2020年だとCOVID19で海外渡航は不可能だったはずなので)。

 もちろん目的地はアイルランド

 ロンドンからはじめればいいのに、パリから出発。列車でイングランドへ。21年前に観光できなかった美しい街コッツウォルズを観光。そこからスコットランドへ入り、フェリーで北アイルランドベルファストへ渡り、そこからアイルランドのダブリンへ入るというコース。帰りはロンドンから帰ったようだ。

 21年目にしてようやくヨーロッパ21各国を完全制覇した4人の面々。

 

 こうして一気に通して視聴すると、歴史を感じずにはいられない。

 何の歴史って…大泉洋の。

 なにせ21年だからね。第一回目のヨーロッパの旅のときに生まれた子どもは21歳の成人になっているわけだ。

 それを考えれば当たり前なのだが、アイルランドへの旅では、みなさん年取ったなぁ、という印象は拭えない(決してネガティブな意味ではありません)。

 

水曜どうでしょう」にハマる直前(2023年6月)に、大泉洋福山雅治が主演のテレビドラマ「ラストマン(2023TBS日曜ドラマ)」を観終えたところだった。そういえば、初回の旅のなかだったか、大泉が福山のモノマネをしていた。まさか二十数年後に、こんな濃厚な共演をすることになるとは、夢にも思っていないであろう頃である。

 欧州旅がはじまった1997年は、大泉はまだ全国区ではなかったと思う。北海道では知られていたのかもしれないが、東京ではまだこれから、という頃だ。「救命病棟24時シーズン3」の放送が2005年(フジテレビ)だ。おそらくこのあたりから大泉の快進撃がはじまったのではないだろうか。

 私は「赤鼻のセンセイ」(2009年日本テレビ)が好きだった。小林聡美のファンなので(これ、神木隆之介も中学生役で出てたんですね)。映画では「しあわせのパン」(2012年日本)が好きだった。原田知世ファンなので。いずれも大泉にはあまり注目していなかったと思う。

水曜どうでしょう」のことがあって、大泉洋のことをウィキペディアで調べてみたのだが、なんだか不思議なのだ。

 私は、彼の存在をいったいいつ知ったのだろう。分からない。「救命病棟24時」のとときには、あ、あの人出てる、って思った。ちなみに、2005年の放送時には観ておらず、いつかは記憶にないのだが再放送で視聴している。けれどもその間に、大泉が出演しているドラマのタイトルを見ても、ピンと来ない。おそらく見ていないのだ。

 じゃあ、大泉洋の存在をいつどこで知り得ていたのだろう。不思議でならない。バラエティだろうか。

 

 上にも書いた「ラストマン」では、大泉はかなり光っていた。

 すっかりベテラン俳優の域だ。

 2020年の「21年目のヨーロッパ21カ国完全制覇」の前振りトークだったと思うのだが、鈴井とディレクターが過去を振り返りながら、「大泉さんは今ではすでに日本を代表する俳優になった」と話していた。

 いやぁ、そうだよね。そう思うと鈴井もディレクターも感慨深いのだと思う。いち視聴者の私にも、今こうして過去の映像を楽しみながら、個人の歴史をまるで俯瞰するかのように眺めつつ、20年以上の歳月の為せる業が深く染み入ってくるのだから。

 いわゆる運命とか未来とかを哲学的(ときに神秘的)に考察するとき、この将来が分かっている私という視点(神の視点)が、過去の誰かを観るときの全能感といくらかの不可思議な雰囲気が相俟って、あらためて運命の何たるかを思い知らされるのである。

 鈴井貴之という人物が、大泉の俳優人生にとって大きな存在となったことを否定する人はいないだろう。鈴井が立ち上げた芸能事務所に、大泉はじめチームナックスの面々は今でも所属している。「水曜どうでしょう」は、鈴井が企画してはじまった番組で、当初はまだ大学生だった大泉を自分の相棒として起用した。いや、相棒というより、もしかしたら大泉にほれこんで起用したのかもしれない、というのは邪推だろうか。

 なぜそう感じるかというと、この若い頃の大泉を見ると「天才」としか言いようがないからだ。そしてもうひとつすごいのは、20年以上経った今も、当時と変わっていない。すなわち、天狗にも偉そうにもなっていないところだ。

 もちろんここまで来るのに、何も苦労や苦悩がなかったということはないだろうが、かなりそれに近い経歴なのではないかと推察する。それは鈴井の貢献が大きかったのではないだろうか(自覚しているか無自覚だったかは別として)。

 

 ちなみに「水曜どうでしょう」は「水曜ロードショー」のパロディなのかな、と思っていたら、やっぱりそうだった。番組のなかで鈴井が言っていた「水曜どうでしょう」が「水曜ロードショー」に聞こえたので、そう思ったのだった。

 

 いずれにせよ、「ラストマン」からはじまった私の大泉洋の過去を辿る旅によって、大泉洋という俳優に今更ながら大きな興味を抱くことになった、という次第。

 なるべくしてなった「日本を代表する俳優」大泉洋の四半世紀を、見せていただきました。

水曜どうでしょう」の大泉洋a la TsuTom ©2023kinirobotti