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60歳からのわがままタロットセラピー17「ご都合主義でいいじゃん」①〜どうせ死んじゃうんだから〜

60歳からのわがままタロットセラピー

=やりのこさないために=

=ご都合主義シニアのアジール

 

「どうせ〇〇だから」。

「どうせ」は、たとえポジティブな結果を予想して使ったとしても、ネガティブな気持ちのこもったフレーズです。どうせだめにきまってる、どうせ私なんて、どっちにしてもやらないといけないならやろう。

 積極的で明るい心持ちとは違います。

 

 ところが「60歳からのわがままタロットセラピー」的には、私たちを鼓舞してくれるフレーズを構成します。これまでしたくてもできなかったことができる!そのための背中を押してくれるフレーズになります。

「どうせ死んじゃうんだから」

 そう思うと何でもできます。怖いものはありません。

 とは言っても、悪いことはしないでくださいね。人間は透明人間になるとまずほとんど全員が悪いことをする、というようなことをプラトンが言っていたと記憶していますが、ぜひ晩節は汚さないようにお願いいたします。むしろ逆で、有終の美を飾る、あるいは最後の最後に逆転満塁ホームランです。

 それから、言うまでもないことではありますが、老婆心ながら付け加えますと「どうせ人間なんて死んじゃうんでしょう、(今やっていること)だったら意味ないじゃん」も全く別の感覚であり、明らかに間違っています。無遠慮や不道徳に何でもしていいわけでもないし、何をしても無意味などということもありません。

 

 さて、無遠慮や不道徳ではなくても「どうせ死んじゃうんだから」何でもやろうとは言っても、それにはどうしてもお金が必要だということもあります。

「お金があればたいていのことはできる」というのは、傲慢な視点からの言い分としては承諾できませんが、この世で生きている限りは致し方ない本音ではあります。一般庶民にはこれがなかなかの油断ならない条件であることも事実です。

 ですが一方で「やりたいことにはお金が必要だから」は「お金がないからできない」という言い訳に使われます。おそらくこれまでの人生のなかで、財力のなさを「できない理由」にしてきた人は多いのではないでしょうか。

 私は占い師ですが、相談者さんのなかにもそういう人はけっこういます。話が進んでいくなかで、「でもお金がないとできないんですよ」「お金がないんですよ」と言ってくる人がいます。そんな話をしていると、この相談者さんは本気でそれがやりたいのか、そうではないのか、申し訳ないけれど占い以前の問題かもしれないと思わざるを得ないときもあります。いや、お金の問題が深刻であることは私も同様の悩みがありますので理解できますし、賛同もします。お金がないために勉学を諦める人もいます。

 けれども金銭問題に人が振り回されるということは、それは個々人の問題というよりも、社会システムの問題であることが大きいと私は思っています。そういう人が大勢いる社会は不幸な世界と言わざるを得ません。

 

 こんなふうに考えてみてください。あなたが今やりたいと思っていることに必要なお金が十分にある状態なら、「それ」をやるのかやらないのか、と。本当はそこまで本気ではないとか、能力に自信がなくて実行するとなれば怖いとか、実はいい加減な気持ちだとかいう場合、お金がないことを単なる言い訳にして「やらない」選択をしてほっとする、ほっとしたい、と思っているということもあるからです。

 十分にできる環境が整っていると仮定して、あなたはそれをしますか?と自分に問いかけてみると色々と見えてくることがあります。

 

 シニアとしては、お金の問題がないとはいいませんが、それでも、もう余生は長くないのですからやりたいことはやったほうが良い、と私は思っています。その線で考えれば、もうやるっきゃない。迷っている間に死んでしまう可能性が高いのですから。

 うまくいくかいかないかは別として、若い頃にできなかったことも含めてやりたいことに試しに挑戦してみる、という心構えは誰にも非難されないと思います。もちろん、会社を立ち上げるんだぁと借金しまくるのはどうかと思いますが、起業したいのであれば本気で真剣に取り組むことによって、より良い方法を見つけ出したり、よき協力者や助言者が現れたりすることだってあるでしょう。またもしかしたら、あなたのやりたいそのことは、(あなたが)起業しなくてもできることかもしれません。起業しなきゃできないんだよと、起業をやりたいことを諦める言い訳にしていたりしませんか。

 残りの人生はあと10年なんだからと自分に言い聞かせても、それでも現に今生きて健康な身からしますと、10年20年前と変わらない自己防衛本能からは逃れられないかもしれません。ゆえに、タロットカードNo13「死神」は、例えば1年後に死ぬと想定したときあなたは今何をしますか?と問い掛けてくるのです。

 

 あらためて尋ねます。若い頃に「やりたいのに諦めたこと」というものがありますか?大それた事から身辺的な小さな事まで、誰でも何かしらあるはずです。

「やりたいのに諦めたこと」というのは、たいていの場合「恐れ」の気持ちからであることが多いのです。先述した金銭的な問題、あるいは家族からの反対、世間体ということから来る恐れです。

 世間体というのは、自分の価値観ではありません。人からどう見られるか、いわゆる世間一般に蔓延している価値基準のようなものです。そこから外れることの恐怖に私たちは束縛され続けてきました。

 日本人は特に「世間体が戒律になっている」とまで、漫画家ヤマザキマリは「たちどまって考える」のなかで述べています。

 緊急事態宣言下の商業施設自粛について、営業を続ける店は名前を公表するという行政処分について触れたくだりです。

しかし日本の場合は、往々にしてこの世間体が、自粛を促すプレッシャーとして機能する。言わば「世間体の戒律」です。法でも宗教でもない、世間が起こす圧力が日本ほど強い国はほかにそうありませんし、その効能が法律にまで影響することに愕然としました。(略)

世間体の戒律に従わないものは「異質」や「異端」と烙印を押され、共同体という群れのなかから排除される。この異質なものを取り去ることで同質性の純度の高い群れを守り、保とうという考え方は、とても日本的だと思います。

(P205)

 この世間体の戒律はコロナだけではなく、親子、家庭、家族の関係性のなかでも作用している、とヤマザキは言います。

この世間体優位の考え方は、西洋のキリスト教的倫理観のものとでは信じがたいものです。

(P206)

 最近はコロナの影響でイタリア(ヤマザキの夫はイタリア人)でも様相が変わってきている所はあるようですが、「世間体という評価が生きるうえでの優先順位(P207)」となり続けてきた日本では、失敗も挫折も許さないという風潮をつくり出しているのであり、そのことによって「やりたいのに諦めたこと」を経験したままシニアになっている日本人が多いのではないか、と私は推察しています。

 親や教師がよく言うセリフは「そんな夢みたいなこと」「そんなことで飯が食っていけるのか」に集約されています。ヤマザキマリも中学か高校のときに、担任の教師から絵で成功するのは難しいというようなことを言われたとどこかで語っていました(そんなことでメゲないのがヤマザキマリです)。

 親は我が子の将来を考えて言っているつもりなのでしょうが、しかしおそらく優先順位としては世間から見られて恥ずかしくない仕事に就かせたい、ということなのです。なぜならそれが親自身への評価にもつながるから。そんな複雑怪奇でネチネチとした価値観のなかで多くの子どもたちが育てられている日本で、違和感と生きづらさを感じながらも世間体戒律に従順している、するしかない、そんな国、社会のなかで私たち日本人は生きてきました。

 が、ここは「60歳からのわがままタロットセラピー」ですので、気にする世間体などどこ吹く風です。

 

 あるいはこういうこともあります。

 資本主義、効率主義では、定量的思考によって人間が評価されるという悲劇のもとに私たちは生きてきました。そのために、生きるためとはいえ我慢を強いられることも多々ありました。どうしてもついていけずに悔しい思いをし続けた人もいるでしょう。あなたが悪いのではありません。社会の仕組みが間違っているだけです。正直者がバカをみるような、狡賢い人、嘘を平気でつける人が得をする仕組みになっているので、誠実で正直な善人が虐げられてしまうのです。それで、「やりたいことができなかった」ということもありましょう。

 

 お金の問題で諦めた、というのは現実的でまっとうな選択のようではありますが、諦める人の大半がそうしているからそれが当たり前になっているだけで、実は社会の仕組のほうがおかしいのだ、ということに気づいていないだけなのです。

 現実の生活問題として付け加えますと、シニアとしても暮らしが苦しいのであれば、躊躇なく生活保護を申請しましょう。私自身、最後はそこだ、といつも覚悟だけは決めています。日本の生活保護制度には不具合も多いようですが、申請すべき人が我慢していると、生活保護は申請すべきでないというお墨付きを世間にも行政にも政治にも与えてしまうので良くないと思います。

 

「そんなことで飯が食っていけるのか」という批判は、シニア世代にはもう全く当たっていません。どうせ近々死んじゃうんですから、これから40年も50年も生活していけるのか?という意味での脅しは通用しません。

 恐れがあるとすれば、自分自身の本気の気持ちだけです。

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