まぁまぁかな。
「終幕のロンド」2025年10〜12月カンテレ月曜夜10時
脚本/高橋美幸
出演/草彅剛 中村ゆり 八木莉可子 塩野瑛久 要潤 国仲涼子 古川雄大
風吹ジュン 大島蓉子 中村雅俊 他
静かな良いドラマだった。が、ものすごく感動したわけではなかった。
草彅剛主演ということで、期待も大きかっただけに、ちょっと残念だった。
人の死をあつかうドラマ。
「遺品整理会社 Heaven's Messenger」を舞台に、さまざまな死とその遺族たちに向き合っていく。
主人公の鳥飼(草彅剛)は遺品整理会社で働いている。5年前に妻を亡くし、息子の陸(永瀬矢紘)と二人暮らし。
鮎川こはる(風吹ジュン)は、65歳。膵臓がんを患っており、余命3ヶ月の宣告を受けている。生前整理を鳥飼に依頼している。鳥飼は、こはるをお世話をしていくなかで娘の御厨真琴(中村ゆり)と出会う。
真琴は、御厨ホールディングスの社長(村上弘明)の息子・利人(りひと/要潤)の妻。
物語は、遺品整理の依頼者と死亡した家族との良くなかった関係、疎遠な関係などが解き明かされたりして、あらためて親に感謝する子どもや、子どものほんとうの思いを知って泣き崩れる親など、ちょっとお涙頂戴的演出でもあるが、それでも「死」によって関係が修復されるという、後悔も伴う悲しいが、温かい家族関係の様相が毎話語られていく。最後までその調子で進むのかと思いきや、中盤から様子は一変する。
こはると娘の真琴が初回から登場しているが、そこを軸としたストーリーが、最終話まで貫かれている。
加えて、遺品整理会社の社長・磯部(中村雅俊)は、10年前に息子を29歳で亡くしている。過労自死だった。その息子が働いていたのが、御厨ホールディングス。
フリーライターの波多野(古川雄大)が、磯部に接触してくる。波多野は「御厨」で自死した社員の調査をしていた。「御厨」では、これまで大勢の自死者を出していたが、すべて隠蔽されていた。波多野は、遺族の有志をつのって、「御厨」を相手に訴訟を起こそうとしていたのだった。
すなわち中盤からは、「御厨」の悪事を暴く話へとドラマが移っていき、一転して、サスペンス風になっていく。
そこに鳥飼と真琴の(きわめて冷静な)恋愛と、真琴とこはる、真琴の父親の謎も絡んでいく。
興味深いドラマではあったが、一話一話、さまざまな死と家族の物語が描かれていくものと思って見はじめたので、思いがけず、過労自死の事件解決ストーリーとなり、あ、そっちが本題だったのか、とヒューマンドラマの色合いが消えてしまったように感じてしまった。もちろん、波多野は1話目から怪しげに登場しており、磯部が息子の死への無念さを心に持ち続けている様子は毎話うかがえる、のではあるが。
最終話で、鳥飼と波多野が訴訟の足を引っ張ることになった出来事も、いささかの不自然さを感じないでもなかった。
とくに、鳥飼と真琴の関係を強気で責め立てていた波多野が、近寄ってきた「御厨」のスパイに気づかなかった経緯は、唐突に明らかになって、唐突に解決した。そのエピソードを表現するシーンが極端に短かったように感じた。
ここまで描くのであれば、せめてもう一話、ほしかった。
事件を暴くきっかけと、人の「死」、という意味では一貫したドラマではあるのだが、なんだかちょっと騙されたような気がする、と言っては言い過ぎだろうか。私のドラマ鑑賞力に難があるのかもしれない、という反論があるとすれば、しっかりと受けとめたいと思うが。
ドラマでも映画でも、「予想と違った」というとき、それは「良い意味」」もあれば「悪い意味」もある。「いい意味での期待外れ」には期待したいところではある。
草彅剛の演技のうまさは相変わらずで素晴らしい。
中村ゆりも、さまざまな役をこなしていて、ただ綺麗なだけの俳優ではないことは、10年前から変わっていない。
ちょうど先日配信で「HOPE〜期待ゼロの新入社員〜」(2016年フジテレビ 主演/中島裕翔)を観た。あ、中村ゆり出てたんだ、10年前からもう上司かぁ、と思った次第。2025年は、フジレビからスポンサーが撤退するなか、「119エマージェンシーコール」(主演/清野菜名)で、横浜消防局司令課の係長役だった。若そうに見えてますが、すでに43歳ですものね(2025年時点)。
「おそろし〜三島屋変調百物語」(2014年NHKBSプレミアム 原作/宮部みゆき 主演/波瑠)のものすごく美しい女性役の印象が強い(このドラマすごく面白いですよ)。
中村ゆりの、ゆったりしなやかな雰囲気を保ちつつ会社内での上司も演じるという独特の演技力。これからどんな役を演じていくのだろう。楽しみだ。
余談になりますが、中村ゆり、10年前とほとんど同じ顔ですね。10年も経つと、たいていの人は顔に年齢が現れるものですが。

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