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2022年夏ドラマ終①「競争の番人」「石子と羽男」〜シーズン2を望む/「オールドルーキー」〜単純だけど…/「テッパチ」〜過不足と残念

 2022年夏ドラマが終わった。

 最後まで観た民放のドラマについて簡単に記しておく。

 

「競争の番人」フジテレビ 月曜夜9時

杏 坂口健太郎 小池栄子 大倉孝二 加藤清史郎 他

「石子と羽男」TBS 金曜夜10時

有村架純 中村倫也 さだまさし

 公正取引委員会と弁護士の世界という違いはあるが、どちらも正義の味方的要素がたっぷり描かれていた。

 個人的には両ドラマとも、出演者とその配役にまったく文句なし、であった。

 持ち上がる事件とその解決過程と方法、そこに取り組む主人公たちの奮闘ぶりが痛快だった。そして、被疑者や依頼人たちの事情や背景が現実の社会問題を浮き彫りにしてくれていた。

 コメディーな要素も適度にあって、ひとことで言って面白かった、のである。

 どちらのドラマもぜひともシーズン2を待望する。

 

「オールドルーキー」TBS 日曜夜9時

綾野剛 芳根京子 中川大志 榮倉奈々 反町隆史

 ものすごく秀作だったかと言えばそこまでではない、と思う。

 けれども、スポーツ選手として引退を余儀なくされたひとりの人間が、現役スポーツ選手についてあれこれ考えてサポートしていくという天職をみつけることができたことに、視聴者としても思わず知らず拍手を送ってしまう。

 ものすごい悪人が登場しないので、ある意味ストレスなく観ることができた。

 単純なストーリー展開だったが、エンタメとして十分に楽しめた。

 

「テッパチ」フジテレビ 水曜夜10時

町田啓太 佐野勇斗 白石麻衣 北村一輝

 これも、単純な展開のドラマなのだが、それなりに観ることができた。

 ただ、ドラマ放送開始のころにも書いたが、ちょっと残念なところがあったのは否めない。過不足が目立つのである。

 自衛隊が舞台になっているということで、新人教育や訓練の様子などを順を追って見せてくれるのかなと楽しみにしていたのだが、きわめて断片的にしか描かれていなかったので納得性が低かった。それよりも休日や飲み会の場面などが頻繁に出てくるので、彼らはそんなに暇なのか?と思ってしまったほど。機密事項も多いのだろうから仕方ないのかなとも思ったが、報道番組の自衛隊密着取材では、訓練の様子から普段の生活までけっこう詳しく放送しているのを何度か観たことがあるので、もう少し丁寧に描けたのでは?と思う。

 上は不足の部分だが、過の部分で言えば、隊員たちの裸のシャワーシーン。これ、必要だったのだろうか。ドラマの前半2〜3話で必ず出てきた。どの層をターゲットにしているのだろう…?もうひとつ、主人公と女性自衛官(教官)の恋を匂わすシーン。そして最終話の最終シーンでの女性自衛官のほうからのキス。なんだかドラマがいっぺんに安っぽくなった。そういうの、わざわざ入れ込まなくてもいいと私は思うのだが、いまだに恋愛要素は必要不可欠なのだろうか。

 加えて、これは過不足的問題ではないが、とても残酷な展開が第10話であった。

 音楽隊を目指していた隊員が、音楽隊のオーディションを受けることになるのだが、そこへテレビ番組収録のときに出会った女性から助けてほしいとの電話が入る。オーディションを抜け出して助けに行くが、それは嘘だった。この恐ろしい女性と、そしてそのあと自殺まで図ってしまう主人公のバディである隊員。なんとも言えない後味の悪さを感じた。

 その隊員は最終話でチームに戻ってきたので、とりあえず救われたが、なんというか、ちょっとのこの唐突で突飛な展開はいったいどんな意図でストーリーに組み込まれたのか、理解に苦しむ(教官から真面目さが仇となるぞ、と言われていたから?)。

 オーディションに合格しないならしないで、普通にオーディション風景を描けばいいのに。オーディションには音大卒の人がたくさん受けに来るということだが、音大卒の人たちがそんなに自衛隊に入るとも思えず、どのような経緯で募集がかかるのか、そんなことも含めてオーディションシーンを描くことはできなかったのだろうか。

 この音楽隊に加えてさらに残念なのは、主人公と同じチームの先輩が儀仗隊に入る希望を示したことだ。いや、儀仗隊に入ることが残念なのではない。さらっと説明はあったが、もうあと一歩踏み込んで描いてほしかった、という残念である。

 この2つの隊、すなわち儀仗隊と音楽隊をもう少し丁寧に描くことができたのに、それをせずに、そこに入隊したいという隊員の個人的なハプニングや態度のほうに物語を持っていったのが解せない。世間ではちょうど国葬などというものが行われて、儀仗隊と音楽隊を国民が目にする機会があったのだから、とてもタイムリーで話題性もあったのに。

 もうひとつ残念を申し上げると、このドラマは、候補生としての第1部と、晴れて自衛官となった第2部に分かれている。第1部のときに同じ班だった他のメンバーがどのような自衛官になっているかという軽い情報が最終話で欲しかった。エリート女性自衛官からのキスシーンよりもそっちのほうが大事だ、と私は思っている。

 自衛隊の協力もあっての撮影で、もっと興味深い作品になってもよかったのに。改良の余地のある残念な点の多いドラマだった。

 端的に言うと、面白くないことはなかったけれど、期待はずれではあった。

 

②では「家庭教師のトラコ」「初恋の悪魔」について書きます。

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