JR東海のCM。
鈴木亮平が奈良を訪れる。東大寺大仏殿や鹿とのふれあいなど、奈良の観光を満喫している映像が流れる。
ところが、息子がこんなことをつぶやいた。
「これって全部妄想じゃない?」
そうなのだ。その可能性があるのだ。
2020年に出版された鈴木亮平書き&描き下ろしの妄想エッセイ集である。
世界各国の世界遺産を訪れたときのエッセイとイラスト(絵画)。目次の次のベージに「この旅行記は、フィクションです」と記されている。
すなわち、妄想。実際には行っていないのである。資料や伝聞をベースにした文と絵が、まこと見事に綴られている。妄想とは思えない。そしてとても面白い。鈴木亮平の優しさや知性の深さも伝わってくる本だ。
JR東海のCMは、本当に訪れていない、ブルーバック撮影なんてことはないわけなので、もちろん妄想ではないことは百も承知だ。
だが、上記の書物の印象があまりに強いため、これも妄想劇場なんじゃないかと思ったり言ったりしてみたくなる、ある種の敬意である。
そう言えば息子がまだ中学生のころしばしば、CMについて面白い発言をしていた。それをブログに書いたところ、いつもブログを読んでくださっている方から「息子さんは哲学的ですね」というようなコメントをいただいたことがあった。
すでに息子もすっかり大人であるが、愉快で鋭い感性は健在のようだ。
こちらに「行った気になる世界遺産」について書いています。
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