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タロット占い師のetc

「お片づけ&処分」①否定〜60歳からのわがままタロットセラピー2

60歳からのわがままタロットセラピー

=やりのこさないために=

=ご都合主義シニアのアジール

 

お片づけブームは去りません。

それどころか、2020年、COVID19による行動自粛生活によって、お片づけ&処分の意識は活性化しました。東京都知事も推奨していました。

これまで家には寝るだけに帰る的な人たちも、在宅ワークとなって部屋の乱雑が気になったり、快適な仕事環境を整えようとしたりして、お片づけ大会がにわかに始まったのが、2020年の春から初夏にかけてでした。

 

私はそんな世間から少々おくれて、お片づけ&処分をはじめることになりました。はじめた、と言うと積極的雰囲気と意欲満々が漂いますが、息子に激しく促されて、正直なところ仕方なく作業をはじめることになったのでした。

 

ここでひとつ告白します。

私は「断捨離」「片づけコンサルタント」などというものにいささか否定的な感情をずっと持ってきました。

タロットカードNo13「死神」のエネルギーからすれば、不要なもの、古いものは捨て去る、という作業は新しい扉を開くためにはどうしても必要で、必要なもの欲しいものを引き寄せるための「おまじない」と言ってもいいくらいな行為なのです。ゆえに、私もそのことを繰り返し相談者さんたちにはお伝えしてきました。「騙されたと思って試しに何か捨ててみてください、新しいものがやってきますから」と。

ではいったい「断捨離」だの「お片づけ」だのという名のどこにネガティブを感じていたというのでしょうか。

 

私が相談者さんたちに都度お伝えしてきたのは、「だからって、何でも捨てればいいというものではありませんよ」「必要なもの、大切なものは捨てないでくださいね」ということでした。

「お片づけ&処分」を実行に移したとき、ふるいにかけるという作業がはじまりますので、その「不必要なものを選択する」という作業がすなわち、「自分にとって本当に必要なもの」を知るための作業をしていることになります。ですので、何でもかんでも捨ててしまうということはないはずではあります。相談者さんたちも、自信ありげな顔つきで「だいじょうぶです」と断言します。

自分にとって必要なもの、好きなこと、やりたいことがわからないとき、逆に不必要なもの、嫌いなこと、やりたくないこと、すなわちネガティブを知ることで、ポジティブが浮き出てくるという「好きなことを知るための方法」があるので、それと同じです。

だったら大丈夫じゃん、かもしれません。が、私が気にかけていたのは次のようなことです。

しっかり選別しようと強い意志を持って取り組んでいても、作業の流れで気分がある程度高揚していますのでついつい調子にのって、いいやこれも捨てちゃえ的なノリで「どんどん捨ててしまってあとで後悔する」ということがなきにしもあらずだ、ということです。

 

「60歳からのわがままタロットセラピー1」のエピソードで紹介させていただいた高齢女性は、写真を全て捨ててしまって遺影用の写真すらないということでしたが、彼女は、はたして「お片づけ&処分」の流れの勢いに乗って捨ててしまったのでしょうか。少しですがお話した限りでは、おそらくしっかり考えたうえで、だったのだと思います。が、他人の葬儀に参列して、思い出の写真が豊富に使われているのを見たときに「あ、私、写真ないわ」と、ちらっと思われたのかもしれません。

でもそのお話を私と夫にしてくださったのは、どういった心持ちだったのでしょう。なんとなく話しやすかったのでしょうか?そこがなんとなく気になっています。

 

私が以前、とある都会のおしゃれなカフェで占いをさせていただいていたときのことです。そこには占い師だけではなく、いわゆる霊能者的な見るからに怪しげな(と言っては失礼ですが)服装をした人たちも様々集っていました。

そのなかに「収納アドバイザー」なる人もいました。明るくてとても素敵な女性でした。服装はごく普通でした。ある日、私がカフェのなかで相談者さんを待っていると、そこで彼女のミニセミナーが4人ほどのグループで始まりました。参加者各自が片づけに関する悩みを話し、それに彼女が答える形式です。

聞くともなく聞いていると、どの人にも同じように「捨てる」ことを勧めていました。そのなかに、仕事柄、本や雑誌が資料として必要でどうしても捨てられないので効率的な収納方法を教えてほしいという相談者さんがいました。なんでも本は立派な装丁の画集や写真集のようなもののようでした。アドバイザーは、理由は丁寧に説明していましたが、あなたの場合もやっぱり本当にそんなに必要なのかどうなのかよく考えてください、と助言していました。

私自身もこの相談者さんと同様の悩みがありましたので、捨てられないであろう気持ちがよく分かりました。

書物には、絶版になって二度と手に入らなくなってしまうものがけっこうあります。図書館を利用すれば本棚さえ必要ない、と考える人もいるようですが、手もとに置いておくことに意義がある書物だってありますし、いつでも思い立ったときに開いて読むことができることは大事なことだと、多くの学者さんたち同様に私も思っています。

最近は絶版本でも、ネットを探せば手に入る機会は多いという便利な時代ではあります。本棚を全く必要としない電子書籍という手段もあります。でも、仕事柄必要だということは、不必要なものは少ないのではないかと想像します。画集とか写真集とかの豪華な書物でしたらなおさら処分できません。いや、処分したくないかも。

この相談者さんは収納アドバイザーに同意したり感心したりしてはいましたが、あまり有意義な助言ではなかったのではないかな、と勝手ながら私の耳は感じていました。

 

資格を持ったお片づけ専門家から捨てなさいと強力な助言を受けて、カルト的にその気になって必要なのに捨ててしまうという人がいないとも限りません。仕事で使っているとか、作家とか、書評家とか、研究者だったりすれば、どれだけ捨てろと言われようが絶対に捨てない…とは思いますが。

私の相談者さんのなかにも大学の先生がいて、彼女が言うには、本の重量で家の床が抜けたそうです。大変なのよとぼやきながらも、そして親からは捨てろと言われ続けながらも、それらの書物を捨てるなどという気は全くないようでした。

本の話は別の機会に書きます。

けれども、そもそも上記の相談者さんの相談は、本がいっぱいあるけどどうしたらいいか、ではなく、本の上手な収納方法を教えてください、だったように思います。もう少し、相談者さんの仕事内容や、書物をどんな時にどのように利用しているのかなどを丁寧に尋ねてあげて、それから捨てるものと残すものの仕分け方法や、「収納アドバイザー」なのですから収納方法を伝えてあげたらいいのに、と素人ながら思ってしまったのでした。私自身も、本の収納には苦戦しているので、聞きたかったです。

などと身勝手な想像をしましたが、どういった経緯か分かりませんが、ミニとはいえセミナーに参加したということは、捨てる決意に背中を押してもらいたかった、すなわち本人も処分することに吝かではない、ということだったのかもしれません、ということもあり得ます。

私でしたら豪華な画集類は、よほど生活や価値観が変わらない限り処分できません。

 

というわけで、服でも物でもCDでも本でも、捨てたあとに後悔するということはままあるものなので、私は「お片づけ&処分ブーム」にはいささか否定的だったのです。収納アドバイザー、お片づけアドバイザーはプロかもしれませんが、相談者はただ単に従順であるばかりではいけない、と私は常々思ってきました。

 

一方で「いつか使うかも」と保存している物のなかにも、今使っていないのなら捨ててしまって、必要になったらそのときまた買えばいいという物もあります。安く買えるものであるならそれも一案です。物置や納戸、押入れに眠りっぱなしだったりすると、持っていることすら忘れて新しい物を購入してどんどん増えていくということだってありますので。ただし、今は環境破壊の観点から、使い捨て消費文化は再考の余地がありそうです。

ちなみに、学者の話でよく聞くのが、持っている本のことを忘れて複数冊買ってしまう、探す時間がもったいないので再購入する、です。こんな私でも数回ですが重複して購入してしまったことがあります。私の場合は、お金がもったいない、と嘆きました。

 

いわゆる断捨離も収納術も本当は、広い屋敷に住んでいるとか、十分な収納スペースや大きな書庫があれば、あまり問題はないのかもしれません。もちろん、どれほど広い家でも、使いやすい、ストレスのない暮らしができる収納方法というのは歓迎すべきです。

 

そして何より、

ここは「60歳からのわがままタロットセラピー」です。

「お片づけ&処分」への考え方や、作業行程への気分は、60歳も過ぎますと若い頃とは随分と変化するものです。

 

②へ続きます。

 

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