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「G線上のあなたと私」第4話〜打ち込める譲れない大事なものって何ですか?〜

絶対譲れない大切なもの。

自分にはそれがない、と言う也映子。

 

「G線上のあなたと私」TBS火曜夜10時

波瑠/松下由樹中川大志

 

幸恵(松下)が、脳梗塞で倒れた義母の介護のために、バイオリン教室をやめることになった。

もともと12月までのつもりだった理人(中川)も退会した。

也映子(波瑠)は、ひとりレッスンを受け続ける。

 

第4話のテーマは、「やりたいこと」かな、と私は捉えた。

幸恵は家族をなにより大切にしている。理人は理学療法士めざして大学で勉強中。自分は?何もない?と我が身を振り返る也映子。

 

人はみな、「やりたいこと」を我慢したり、諦めたりして、それなりに折り合いをつけて生きているのだろうか。

也映子のいとこ晴香(真魚)は、妊娠して喜んでいたが、双子だと分かり将来に不安を抱く。「東京のど真ん中で一生美容師やるって夢だったんだよね」と、也映子の前で泣いてしまう。やっていけるかな、と。子育ては大変だ。双子となるとなお大変だ。

幸恵も、家では明るく振る舞ってはいるが、也映子からの「3人でコンサートを開こう」という提案に、思わず「今それどころじゃないのよ」と声を荒げてしまう。

理人は、眞於(桜井ユキ)を諦めようとしている。

也映子は、音楽関係の仕事につきたいと、音楽出版社を受けるが落ちてしまう。ハローワークでも、音楽関係という希望を外せば仕事はたくさんあると助言されてしまう。音楽に救われた也映子が、音楽に興味を持ち音楽に関係した仕事をしたいという目標ができたのに。「次、仕事をするなら好きと言える仕事がしたいなぁと思って」と主張する也映子に、「音大卒で音楽に携わる仕事がしたいのにできない人がどれだけいると思うか」とハローワークの職員に言われてしまう。

 

結局今話では、也映子は、音楽関係の仕事を探すのをやめて、これまでのキャリアを生かせる仕事を探すことにする。

理人の恋は。これは片思いなら諦めるしかない。

晴香の場合は、子供を授かるということは幸福なことなのに、自分のやりたいことを短期間か長期間か分からないが、諦めなければならないのかなと思ったら泣けてきたのだろう。未知の不安もあるのだろう。これは何とも心が痛い。

幸恵の場合はどうだろう。私ははたと考えてしまった。親の介護は大事かもしれない。家族を大切に思えば思うほど、いい加減にはできない。が、その介護の相手は義母。しかも嫌味をずっと言われ続けてきた義母だ。幸恵も也映子同様、バイオリンに救われた。それだけに、義母の介護のためにバイオリンを諦めなければならないというのは悔しかったり、残念だったりという気持ちが全く無いと言ったら嘘になるのではないか。

 

最後のレッスンの日。幸恵の10歳の娘が、おばあちゃんの世話は自分にもできるからと、幸恵を送り出してくれた。3人は音楽教室で数分間だが会うことができた。

前話の幸恵のエアバイオリンのシーンもよかったが、今話のこのシーンも、非常によかった。

何が良いと言って、具体的に言葉にするのが難しい、というよりも、言葉にすると軽くなってしまう、それほどナイスなシーンだった。この3人が久しぶりに揃って、ゆるりとした安寧な雰囲気を画面から漂わせてくれる。

 

也映子が理人に、カラオケ屋の一室で次のように言う。 

この間、いとこが双子を妊娠していることが分かりました。彼女はひょうひょうとした人なんだけど、実は自分の仕事にすごい誇りを持ってて、それが揺らいでしまうことに今、不安を感じてます。

私は、ハローワークで希望の職種に音楽関係と入れて、相談員さんにそれは無理だ、と言われました。

理人くんは、どうして理学療法士になりたいと思ったの?

私、今からなにかやりたいこと見つけたとして間に合うと思う?

うらやましい。幸恵さんみたいに大変な状況にある人のことをうらましいと思う。幸恵さんにとって家族は大事だし、譲れない何か、なんだよね。

なんでみんなさ、大事なものとか譲れないものとか、目指すものとか、そんな…ちゃんと見つけられんの?好きな人とか。

入れ込めるものが見つけられないって、ホントはいっちばんキツイよ。でもさ、生きていかなきゃなんないじゃん。

この也映子のセリフに、子供から大人になって社会で生きていく人間の悲哀がにじみ出ているように思う。

 

也映子は、就活のみならず、婚活もはじめることに。

 

 

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「G線上のあなたと私」 @kinirobotti