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死神幸福論~手っ取り早く自分のやりたいことを知るために⑤~もうひとつの方法~

承前)

 

中島義道著「働くことがイヤな人のための本」(新潮文庫)に次のようにあります。

これは、Aくんという架空の学生の「ぼくは別に仕事で大成功したいわけではありません。ただ、何か自分にぴったりした仕事をしたいんですが、それがわからないんです」という質問に対して著者が答えているなかの一節です。

どんなに不可能なことでもどんなに大それたことでもいい。才能とか年齢とか親の反対とか生活の安定とかすべて切り捨てて、自分がいちばんしたいことをまず確認すること。それがわかったら、それを実現するありとあらゆる方法を考えること。なにも直接的な道でなくてもいいんだ。間接的な道でも構わない。

(P62)

 「死」を想って「今を生きる」ということは、こういうことでもあります。ひと月後に死ぬ、一年後に死ぬ、と想定してみるということは、今自分にかかっているあらゆる規制、足枷が取り除かれたとき、あなたは何をしたいと思いますか?何をしますか?ということです。

お金がないから、年齢が…、忙しいから、は通用しません。あなたは今何でもできますよ。それをするための条件はすべてそろっています。はい、どうぞ、好きなことやってください。と言われたとき、あなたは、何をしますか?

あるいは、自分が本当にやりたいことを確認するひとつの方法でもあります。どんなに規制が、障害がなくなっても、お金が手に入っても、そのやりたいやりたいと思っていたことを実はやらないかもしれません。今やりたくてやりたくてしかたのないこと、「○○さえなければ、○○さえあればできるのに」と境遇や現況を呪詛しつつ憧憬していることを、本当にやりますか?どうでしょう?逆に尻込みしてしまう自分がそこにいるかもしれません。

条件や環境の不具合も不都合もないのに、あなたがいつもつぶやいているできない理由がなくなったにもかかわらずやらないのなら、それはあなたの本当にしたいことではない、のかもしれません。誰かと較べて羨ましいと夢見ていただけ、あわよくば棚から牡丹餅が落ちてくるのを望んでいただけなのかもしれません。ただ単に有名になりたいなぁ、お金持ちになりたいなぁ、そうなったら贅沢できるぞ、威張れるぞ、だけだったのかもしれません。わらしべ長者は棚から牡丹餅とはちがいます。

できない理由がなくなったのに「しない」のは、本当はしたくなかったのか、できない、つまり能力がないか、です。

能力があると思い続けたいがために、何かしらの言い訳をして先送りしているということもあります。本当はオレ、こんなところにいるべき人間じゃないんだよね、本当はもっとすごいことできるんだけどね、と。

負け惜しみは更なる障害を生みますが、もし、条件も環境も整っているのに動けない理由が「臆病」なだけならば、そこはぜひ「死神から命の期限」を受け取ったと仮定してみましょう。それでも、動けないのであれば、今に満足しているのだと理解するか、今に不満を言うのをやめましょう。その場所があなたの居場所なのですから。

 

上記書物の「はじめに あとわずかの命」にこうあります。

それは今夜かもしれず、明日かもしれず、明後日かもしれず、一週間後かもしれず、一年後かもしれず、一〇年後かもしれず、運のいい人は五十年後かもしれない。しかし、あなたは確実に死んでしまう。あなたはこの地上ばかりか、この宇宙の果てまで探してもいなくなる。そして生を受けたこのチャンスはたぶんただ一度かぎり。もう二度とあなたが生きることはない。

こうした残酷な状況の中で、ではあなたは何をすべきなのだろうか?生きるかぎり、働かなければならないとすると、どのような仕事をすべきなのだろうか?

(P3)

「 転生輪廻」という観点からしますと「生を受けたこのチャンスはたぶんただ一度かぎり。もう二度とあなたが生きることはない」という文言には違和感を覚えるかもしれません。神秘主義の立場からは、それは唯物的考え方だ、と思うことでしょう。私自身も神秘思想の立場は理解しています。私は占い師ですし、私の扱っているタロットでは「前世」という視点があります。そのような観点からお話しをすることもあります。それでも、「今世のこのチャンス」はたとえ生まれ変わりがあるとしても、たった一度かぎりです。自分自身の人生を考えたとき、「今を生きる」ことを忘れてはいけないのだろうと思います。神秘思想的に言えば、それはまた次の人生の幸福へとつながっていくわけです。

 

繰り返して喚起しますが、「今を生きる」は「即物的に刹那的に生きる」ということではありませんし、「どうせ死ぬんだから」は「何をやってもいい」ということではありません。「即物的に刹那的に生きる」「何をやってもいい」というのは「自暴自棄」の別名です。

 

ーーーまとめーーー

「手っ取り早く自分のやりたいことを知るために」

■「死」を想定する。

もうすぐ死ぬんだ、と思ったらあなたはどうしますか?

何をしますか?何がしたいですか?

■「今死んだら」を想定する。

今死んだら、あなたは何を後悔しますか?

やっておけばよかったことは何ですか?会いに行けばよかった人は誰ですか?

一番楽しかった思い出は何ですか?

■「あらゆる条件、環境が整っていたら」を想定する。 

出来ない理由はもうありません。

お金がないからできないと今思っていること、できますよ。さあ、何をしますか?

 

そして、勇気をもって本当にやってみる。何も失うものはありません。何しろあなたはもうすぐ死んでしまうのですから。

 

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