お客様、お客様、お客様、
え?は、はい。
お客様、閉店の時間でございます。
え?
申し訳ございません。閉店のお時間でございます。
あ、えっと、わ、こんな時間。
店内の時計を見る。
辺りを見回す。
薄暗い店内と夜闇に映る街灯。
あ、ごめんなさい。
……
わ、わたしずっとここに居ました?
? 困った表情の店員。
こんなに読んだのか……
手元の本のページをパラパラと確認する。
ごめんなさい。すぐ出ます。長いこと居座ってすみませんでした。
荷物を整理しながら額に手を当てる。
あ、ごめんなさい。1分だけ時間ください。頭を現実に戻さないと、交通事故にあっちゃいそうで……
だいじょうふですよ。
ありがとう。