「三島屋変調百物語六之続」
「黒武御神火御殿(くろたけごじんかごてん)」
「連載小説」というのが私は苦手だ。ましてや「新聞小説」などは読んだことがない。いや、本になれば読む。
昔々のことだが、ある友人も同じことを言っていた。気が合うなぁと思ったものだ。
今年は、天候をはじめ「はじめて」なことが多いように思う。そんな平成最後の夏に、な、なんと、私は「新聞連載小説」を読み始めてしまった。
どうしたんだろう、と自分で首をひねる。年齢のせいか?経済的な余裕はないが、心の余裕ができたのか?
とにかく、私の人生「はじめて」である。
理由を考えてみる。
まずは、宮部みゆきファンである。
私は小説をほとんど読まない。とくに日本の小説。好きな作家(日本人)もいないままここまできた。ところがあるとき、宮部みゆきは天才だ!と思った。
次に、「三島屋変調百物語」のファンである。
NHKのドラマ(2014年)から入ったのではあるが。そして、そのすべてを読んではいない。第1作「おそろし」はドラマで観た。第2作「あんじゅう」は書籍で読んだ。
ホラー時代小説。非常に興味深く、面白い。
人間の心の内の闇、欲、葛藤が、不思議物語のなかで花開いていく。怖いのは、幽霊よりも人の思いかもしれない。
すごいなぁ、この作家。こんな物語が書けるんだぁ、と本気で感心した。それ以来、私が尊敬する日本の小説家はいないと言っても過言ではないのだが、宮部みゆきだけは尊敬する。そんな風に人にも言っている。なかでもこの「三島屋変調百物語」は格別。
ご想像の通り、3~5は未読。時間があれば読みたいと思っている。
一方で、NHKBSドラマでやってくれないかな、と待ち望んでいる。なぜなら、「おそろし」では、不思議物語の聞き手役をつとめる「おちか」を波瑠が演じていて、波瑠ファンとしては、どうせやるなら波瑠で、と思うので。
そんなわけで、毎日新聞朝刊で8月1日から連載が始まった「三島屋変調百物語六之続」を読むことになった。
人生はじめての体験となる。
読み続けられるかなぁ。
今朝(8月2日)が第2話。
物語の聞き手が「おちか」から「寅次郎」に変わった。
三島屋の姪「おちか」は「この春めでたく嫁にいった」そうだ。
なんだぁ「おちかじゃないのか」。私の空想のなかでは「波瑠じゃないのか」かもしれない。
新連載スタートのインタビュー記事で宮部は以下のように語っている。
辛い過去を背負ったおちかが聞き手の時は、全体的にシリアスな調子になりました。一方で寅次郎は身の振り方が決まっていないモラトリアムの人です。少し気楽な立場で物語を聞き取れます。このシリーズ全体で4人の聞き手を想定していますが、寅次郎が2人目となります。少し雰囲気を変えたいと思いました。ただ怖いだけはなく、不思議でややSFがかった風味も織り込みたい。
(毎日新聞2018年7月25日夕刊)
え?あと2人出てくるんだ。
まだまだ続く「黒白の間」で「語り捨て」「聞き捨て」される江戸不思議物語。